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[III-OR43-05] 基礎疾患のないWenckebach型2度房室ブロックに及ぼす自律神経の影響
キーワード:Wenckebach型2度房室ブロック, 心拍変動解析, 自律神経
【背景】Wenckebach型2度房室ブロック(W型AVB)は徐脈性不整脈で、機序として迷走神経の過緊張による機能的ブロックが考えられている。心拍変動の周波数領域解析で自律神経活動を評価できるが、高周波数(HF)成分は副交感神経活動、低周波数(LF)成分は主として交感神経活動、一部副交感神経活動により影響を受ける。LF/HFは交感神経機能の指標とされている。【目的】W型AVB発生前後の自律神経活動を心拍変動解析を用いて検討する。【対象】心エコーで基礎疾患を否定した、7歳~24歳のW型AVB 43名(男性18名、女性25名)、のべ49回を解析した。【方法】ホルター心電図でW型AVB発生直前の20分間及び発生後5分間を5分毎に分け、発生直前から遡ってT1、T2、T3、T4とし、発生後の5分間をT0とした。それぞれの時間帯の心拍変動解析(HF、LF、LF/HF)を行い比較検討した。【結果】LF及びHFはAVB発生前にT2、T1、T0にかけて次第に増加した。特にLF、HFともにT1からT0にかけて有意に増加した(LF:p=0.009、HF:p=0.007)。LF/HFは有意な変化を認めなかった。また、W型AVB が1日中観察されるもの、夜間頻発するもの、2:1伝導のものが合わせて49回中18回に認められ、夜間に少数しか認めないものに比べ、T0のLFとHFが有意に高値だった(それぞれ、p=0.005、0.0004)。【考察】AVB発生前にLF、HF共に増加していることから、副交感神経活動が一過性に高まり、AVBが生じている可能性が示唆される。また、この副交感神経活動はAVB発生後もさらに強まりながら持続しており、1日中観察されるもの、夜間頻発するもの、2:1伝導のものはこの傾向が強いことから、これらの群は進行に注意し運動負荷心電図の所見と合わせて長期の経過観察が必要と考える。