11:05 AM - 11:55 AM
[III-OR44-01] 小児QT短縮症候群の臨床像と遺伝学的特徴
Keywords:QT短縮症候群, 若年突然死, 遺伝性不整脈
【背景】QT短縮症候群(以下SQTS)は若年突然死の原因として注目され、遺伝子診断でSQT1-6に分類されている。しかし報告は限られ、小児の臨床像や遺伝学的特徴は不明な点が多い。【目的】SQTS若年例の臨床像と遺伝学的特徴を明らかにする。【方法】日本小児心電学会幹事らに調査票を送付し、SQTS診断基準を満たした18歳未満例情報を集積検討する。【結果】9例が登録、うち有症状または遺伝子診断確定した8例(男5,女3)を対象として検討。診断時年齢は0-17歳(中央値11歳)。遺伝子検査を7例に施行。SQT1でKCNH2 N558K(既報あり)、SQT2でKCNQ1 V141M(既報あり)、SQT3でKCNJ2 M301K(既報なし)の各1例が遺伝子診断確定。家族歴はSQTSが3例(SQT1、SQT2、遺伝子診断未の各1例)、突然死2例(SQT1と遺伝子診断未 各1例)。既往歴は精神発達遅滞、てんかん、川崎病(同一例 SQT3)。受診・診断契機は、学校心臓検診1例(SQT1)、胎児徐脈1例(SQT2)、偶然発見の心房細動1例(SQT3)、動悸2例、失神1例、心停止(心室細動)2例。診断時のQT、QTcB、QTcFは各々、SQT1で260、283、271、SQT2で283、263、269、SQT3で172、194、182、遺伝子診断未の5例は、277-357ms(中央値 320ms)、306-359ms(中央値 317ms)、300-358ms (中央値 318ms)。SQT2は接合部調律だが、他は洞調律。洞不全合併が2例(1例は心房細動合併のSQT2)、早期再分極3例(いずれも遺伝子診断未)。治療は、SQT1にキニジン、SQT2はペースメーカー植え込み、SQT3にフレカイニドとキジジンを内服。心停止2例はICD植え込み(1例はビソプロロール内服)、SQT3が電気的生理学検査時に心室細動誘発。他に経過中に心イベントや突然死の症例なし。【考察】遺伝子診断例が未診断例に比しQT短縮が顕著だが、心停止例は遺伝子診断未例に多かった。今回の検討ではQTの短さと予後の関連は述べられないが、SQT1,2は同変異の既報例と類似し、遺伝子型と表現型の関連が示唆された。