11:05 AM - 11:55 AM
[III-OR44-03] 境界領域QT延長児の臨床経過および予後
Keywords:QT延長症候群, 小児, 境界領域
【背景】境界領域QT延長 (b-LQT)の明瞭な定義の記載はなく、その臨床経過や予後について検討された報告はない。【目的および方法】対象は1994年-2016年4月に当科受診し、QT延長のため経過観察必要と判断された学童 (5-18歳)、b-LQT (400 ms≦QTc<500 ms)の59人。後方視的にその臨床経過・遺伝子検査結果、補正QT間隔 (Bazzetの式 QTc)、LQTSスコア(Schwartz PJ 2011)の推移を検討した。high、intermediate、low probabilityはLQTSスコアによって分類した。【結果】経過観察期間中 (6.0±3.4年)、初診時LQTSスコア≧4.5の2人に失神がみられたが、突然死例やaborted cardiac arrest例はなかった。LQTS遺伝子陽性率はhigh、intermediate、low probabilityでそれぞれ92%、57%、67%であった。経過観察期間中に行った無投薬48人777回の安静時心電図 (16±9回/人)における最大QTcと平均QTcは初診時のhigh、intermediate、low probabilityで有意に異なっていた。しかし経過観察期間中、安静時QTc、運動負荷後回復期4分のQTcは大きく変動し、それとともにLQTSスコアも大きく変動、結果、観察期間終了時のLQTSのhigh、intermediate、low probabilityの分類は初診時と23人 (48%)で異なっていた。【結論】LQTスコアはb-LQTの学童を評価するには有用で、LQTSスコアが低値な児童の心事故のリスクは低いことが予想されうる。しかし、LQTSスコアは経過観察中に変動し、perfectな方法とはいえない。初診時low probabilityであっても何か疑わしいと感じる場合には経過観察を続けるべきである。b-LQT児童のfollow-up strategyの構築が望まれる。