11:05 AM - 11:55 AM
[III-OR44-05] KCNQ1の遺伝子変異を認めたてんかん合併QT延長症候群の双児例
Keywords:QT延長症候群, てんかん, KCNQ1
【背景】近年,QT延長症候群(LQTS)とてんかん合併の報告が散見され,イオンチャネル病として両者の関連が示唆されている.我々は,KCNQ1変異を認めたてんかん合併LQTSの双児例を経験した.【症例】二絨毛膜双胎の3歳女児.両児共に熱性けいれんの既往あり.発端者の双胎第2子は,昼食中に約40秒の全身性強直間代性けいれんがあり,発作後の心電図でFridericia補正QT時間(QTcF) 490msecとQT延長を認めた.発作時に発熱はなく,頭部MRIや脳波,血液検査では異常を認めなかった.精査入院中には数十秒の意識消失発作を認めたが,モニター心電図は洞調律であり,てんかん合併LQTSと診断した.てんかん症候群分類は,臨床経過から熱性けいれんプラスと診断した.クロバザム,プロプラノロール内服を開始し,以後1年以上はけいれん等を認めていない.双胎第1子は,第2子の診断後,スクリーニングの心電図でQTcF 471msecとQT延長を認めた.両親の希望で無治療経過観察としていたが,後日昼食中に約2分の意識消失発作を認め,本児も同診断で同治療を開始した.以後は同様の症状なく経過している.両児とも致死性不整脈はこれまで記録されていない.後日,遺伝子検査で両児共にKCNQ1の遺伝子変異(A525V)と,疾患修飾因子の可能性があるSCN5Aの遺伝子多型(R1023C)を認めた.家系内では父が同変異・多型を認め,妹は同変異のみ認めた.父は幼少期に熱性けいれんの既往があり,成人後に一度失神を起こしていた.内科を受診したがQT延長はなく,無治療で経過観察されている.妹はけいれんや失神,QT延長を認めず,無治療で経過観察中である.【結論】共にKCNQ1変異をもつ双児をてんかん合併LQTSと診断した.てんかん合併LQTSはKCNQ1変異の一表現型である可能性がある.