第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

心筋心膜疾患

ポスター (III-P36)
心筋心膜疾患 2

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:武田 充人(北海道大学病院 小児科)

13:00 〜 14:00

[III-P36-01] 胎児期から観察し得た巨大心臓横紋筋腫による難治性心室頻拍症を合併した結節性硬化症の1例

中島 公子1,2, 新井 修平2, 浅見 雄司2, 田中 健佑2, 石井 陽一郎2, 池田 健太郎2, 関 満1, 下山 伸哉2, 荒川 浩一1, 小林 富男2 (1.群馬大学医学部附属病院 小児科, 2.群馬県立小児医療センター 循環器科)

キーワード:心臓横紋筋腫, 結節性硬化症, 心室頻拍

【はじめに】結節性硬化症(tuberous sclerosis:TS)は全身性の過誤腫を特徴とする常染色体遺伝性疾患である。胎児期に心臓腫瘍を指摘され、出生後に巨大心臓横紋筋腫による難治性心室頻拍症を合併し集中治療を要した症例を経験したので報告する。【症例】日齢0男児。在胎25週時に胎児エコーで心臓腫瘍を指摘。兄がTSと診断されており、児もTSが疑われた。在胎35週時の胎児MRIでは結節性病変が心室中隔に多発し、そのうちの一つは26×20mmと非常に巨大で、両心室の狭小化を認めた。分娩方法は母体既往帝王切開と胎児左室流出路狭窄の懸念を鑑み、帝王切開とした。在胎38週2日、出生体重2560gで仮死なく出生した。出生後の頭部MRIで多発性側脳室上衣下結節を認めTSと診断。出生直後の循環動態は安定しており、腫瘍の自然退縮を期待して無治療で注意深く経過観察することとした。日齢4に心室性期外収縮が散発し、日齢8に短時間の発作性上室頻拍を認め、日齢10に有脈性心室頻拍が出現した。電気的除細動やキシロカイン、ランジオロール、アミオダロン等の薬物療法を行い、一時的に有効であったが治療抵抗性となった。日齢40頃よりアミオダロンを内服とし、ランジオロールを減量するとともにビソプロロールテープを開始し、日齢64に退院。生後7か月のエコーでは横紋筋腫は14×7mmまで縮小、生後8か月から薬物療法を漸減中止できた。現在1歳5か月であるが発育発達良好である。【まとめ】心臓横紋筋腫は約50%が自然退縮すると言われているが、流出路・流入路狭窄や高度弁逆流、致死的不整脈を有する例では、突然死のリスクの観点から外科的切除が考慮されるが、全例が手術で救命できるわけではない。また、出生直後ではなく、生後ある程度の期間を経て循環動態の変化を来たす症例があり、交感神経系の変化の影響が示唆されている。本症例は約1か月の集中治療の後には経過良好であり、本疾患の管理は更なる症例の蓄積が待たれる。