第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

心筋心膜疾患

ポスター (III-P36)
心筋心膜疾患 2

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:武田 充人(北海道大学病院 小児科)

13:00 〜 14:00

[III-P36-02] 当科でのDuchenne/Becker型を除く筋ジストロフィーにおける心病変の検討

山澤 弘州, 武田 充人, 泉 岳, 佐々木 理, 阿部 二郎, 佐々木 大輔 (北海道大学 医学部 小児科)

キーワード:筋ジストロフィー, 心臓磁気共鳴画像, 致死的不整脈

【目的】成人前に診断される筋ジストロフィーではデュシェンヌ及びベッカー型筋ジストロフィー(DMD/BMD)以外は頻度が低く、心病変に関しては不明点も未だ多い。当科フォロー中のそれらの筋ジストロフィーの心病変について検討する。【方法】DMD/BMDを除く筋ジストロフィー患者の診療録より、病歴及びレントゲン、心電図、心エコー、遅延造影(LGE)を含む心臓磁気共鳴画像(cMRI)、血液検査結果を後方視的に検討。結果は平均±SDで表記。【結果】対象の総数は11例、内訳は筋強直性ジストロフィー(MD)7例、福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)3例、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー(EDMD)1例であった。心エコー左室内径短縮率、レントゲン心胸郭比、BNPは各々0.34±0.03(8.8±6.2歳)、45.6±4.8(9.3±8.3歳)、14.8±8.0pg/ml(12.3±8.5歳)で異常無く、心病変との関連も認めなかった(()内は検査時年齢)。心病変は3例に認め、心病変出現年齢は13.3±5.9歳。内訳はEDMDにてLGE-cMRIの陽性化に伴い、PQ時間の延長を認めた。MD2例で2枝ブロックへの変化を認めたが、LGE陽性化は見られなかった。【考察】心病変は電気生理学的異常が主体であった。EDMD例はその後LGE範囲拡大に伴い、更にPQ時間延長し、心室性期外収縮の連発も見られた。既報による致死的不整脈のリスク層別化では低リスクな症例だが、心筋性状変化の増悪に伴い電気生理学的異常の増悪が見られる点が注目される。一方当科MD例同様、心筋性状変化を認めないにも関わらず致死的不整脈を起こしたチャネル病の側面が注目される協力施設症例も紹介したい。FCMD例は心病変を捉えていないが、全例病因遺伝子におけるレトロトランズポゾン挿入変異をホモ接合性に有しているためと考えられる。