Poster (III-P40)

[III-P40-10] 拡大した肺動脈の圧迫により気管支狭窄を来した肺高血圧合併心房中隔欠損の乳児例

^○岸 勘太¹, 桝田 翠¹, 蘆田 温子¹, 小田中 豊¹, 尾崎 智康¹, 片山 博視¹, 島田 亮², 小西 隼人², 根本 慎太郎², 玉井 浩² (1.大阪医科大学 小児科, 2.大阪医科大学 小児心臓血管外科)

Keywords:気管支狭窄, 心房中隔欠損, 肺高血圧

【背景】先天性心疾患に気管支狭窄が合併することは知られているが、心房中隔欠損（ASD）に合併することは稀である。【目的】気管支狭窄合併のASD症例の臨床像を調査し、その特徴を明らかにする。【方法】対象症例の臨床経過、検査所見などを後方視的に調査した。【結果】対象症例は3例（A、B、C）。発症時月齢、A: 8か月, B: 2か月, C: 3か月。呼吸器症状は、全例で繰り返す喘鳴を認め、B・Cで無酸素発作があり、Bで気管内挿管を要した。全例、呼吸器症状出現前にASDと診断されていた。全例でASD閉鎖術を施行し、B・Cで大動脈つり上げ術を同時に行った。手術時月齢、A: 13か月, B: 4か月, C: 7か月。術前の心電図検査は全例で右室肥大を認めた。術前の心臓カテーテル検査では、Qp/QsがA: 2.2, B: 3.6, C: 2.0、平均肺動脈圧がA: 31, B: 27, C: 27 mmHg、Pp/PsがA: 0.71, B: 0.63, C: 0.63、PA indexがA: 439, B: 624, C: 398 mm2/BSAであった。造影胸部CTで確認した気管支狭窄部位は、全例、左主気管支で、A・Bで下行大動脈、Cで椎体と拡大した右肺動脈で左主気管支が挟まれ圧迫されていた。全例で気管支鏡検査にて左主気管支の拍動性の圧排を確認した。全例、術後に呼吸器症状は速やかに改善し、肺高血圧も消失したが、Cで肺血管拡張薬を内服している。【考察】ASDに合併した気管支狭窄は左主気管支が病変部位で拡大した右肺動脈が原因で肺高血圧を合併していた。乳児期から症状を認め、ASD閉鎖術+/-大動脈つり上げ術で症状が改善し予後は良好であった。【結論】単純なASDでも乳児期に心電図で右室肥大を認め、心エコー検査で肺動脈拡張と肺高血圧の所見があり、喘鳴を呈する症例は、造影CT検査、心臓カテーテル検査、気管支鏡検査など精査を行い、拡大した肺動脈による気管支圧迫の所見があり、その他の原因が否定されれば可及的速やかにASD閉鎖術を施行すべきである。