第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

川崎病・冠動脈・血管

ポスター (III-P41)
川崎病・冠動脈・血管 2

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:唐澤 賢祐(日本大学医学部小児科/唐澤医院)

13:00 〜 14:00

[III-P41-07] 重症川崎病初期治療におけるメチルプレドニゾロン-プレドニゾロン併用の有用性

吉兼 由佳子1, 宮本 辰樹2 (1.福岡大学筑紫病院 小児科, 2.福岡大学 医学部 小児科)

キーワード:不応例予測スコア, プレドニゾロン, ステロイド

【背景】川崎病の急性期治療はヒト免疫グロブリン大量静注(IVIG)療法が主流であるが、初回IVIG療法に反応が悪い、いわゆるIVIG不応例が15~20%存在し、冠動脈瘤形成の原因となる。2012年に改訂された川崎病急性期治療ガイドラインにおいて、「IVIG不応例予測リスクスコアで層別化し、1st lineよりプレドニゾロン(PSL)またはメチルプレドニゾロン(IVMP)の併用を考慮する」とされた。当時当院ではIVMP併用を開始したがしばしば再発熱を経験し、以降はPSL後療法を加えたIVMP-PSL併用療法を行っている。【目的】IVMP-PSL併用療法の有用性を証明すること。【方法】川崎病診断時にIVIG不応予測例スコア3つのうちどれか1~2つで基準を満たす症例を中等度リスク症例と定義し、2007年1月から2016年11月までの初発川崎病中等度リスク症例65例を対象とした。IVIG単独投与していた31例をI群、IVMP単独併用した9例をM群、IVMP-PSL併用療法を行った25例をP群とし、臨床経過を比較した。IVMP-PSL併用療法;IVMP30mg/kgに引き続きIVIG2g/kg、終了後PSL2mg/kg/日静注を開始し2-3日毎に減量中止する。【結果】追加治療はI群35%(11/31例)、M群30%(3/9例)、P群20%(5/25例)と有意差はないもののP群でのみ減少した。2か月後の冠動脈病変残存例はI群19%(6/31例)、M群0%(0/9例)、P群0%(0/25例)とステロイド併用全体で有意に減少した(P<0.01)【結語】IVIG不応予測スコアを1~2つ満たす川崎病中等度リスク症例に対する初期治療で、PSL後療法を加えたIVMP-PSL併用療法が追加治療の必要性を低下させる可能性があると思われた。またステロイド併用は冠動脈病変を抑制することが示唆された。