The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

川崎病・冠動脈・血管

Poster (III-P41)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Kensuke Karasawa(Nihon University School of Medicine, Department of Pediatrics and Child Health, Karasawa Clinic)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P41-08] 川崎病罹患後にペースメーカー心室閾値の上昇を認めた、三尖弁閉鎖・Fontan術後の洞不全症候群の1例

岡部 真子1, 宮尾 成明1, 仲岡 英幸1, 斎藤 和由1, 小澤 綾佳1, 廣野 恵一1, 市田 蕗子1, 池野 友基2, 青木 正哉2, 芳村 直樹2 (1.富山大学 小児科, 2.富山大学 第一外科)

Keywords:川崎病, ペースメーカー, ペーシング閾値上昇

【背景】ペースメーカー植え込み直後や急性期にペーシング閾値が上昇することは稀に認める現象であるが、川崎病によりペーシング閾値が変動した報告はこれまで認めていない。今回、我々は、ペースメーカー植え込み術から1年後に川崎病に罹患し、その後に心室ペーシング閾値が上昇した症例を経験した。【症例】現在13歳の女児。出生後に三尖弁閉鎖症と診断され、生後6か月時にGlenn手術、1歳時にextra-cardiac TCPC手術を施行された。7歳時に洞不全症候群と診断され、心外膜リードでペースメーカー植え込み術を行った(DDDモード)。8歳時に川崎病に罹患したが、IVIGに反応良好であり冠動脈瘤の合併も認めなかった。経過中、心筋炎を示唆する検査所見には乏しく、心嚢液のわずかな貯留を認めた程度であった。川崎病罹患から5か月後のペースメーカーチェックでVペーシングの閾値が1.75V/0.4ms→4.5V/0.4msと上昇していたが、デバイスの位置変化やリードトラブルは認めなかった。その後の定期チェックにて、現在は3.0V/0.4msまで改善を認めている。【考察】川崎病では、心筋炎や心膜炎・心筋の線維化を認めると多数報告されている。本症例では川崎病の前後でペーシングの閾値変化を認め、デバイスの位置変化やリードトラブルは認めなかったことから、川崎病による心膜炎や心筋炎の存在を示唆しているものと考えられた。【結語】川崎病では無症候性であっても、心筋・心膜に炎症性変化が生じていることを示唆する一つの所見であると考えられた。また、川崎病の組織学的変化は長期にわたり継続するという報告もあり、今後も慎重にペースメーカーチェックを行う予定である。