The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

外科治療

Poster (III-P43)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Sadahiro Sai(Dept. of Cardiovascular Surgery.Miyagi Children's Hospital )

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P43-01] 巨大肺動脈拡張に対し人工血管置換術を施行し、術中所見にて肺動脈弁形成術を追加した1例

松前 秀和1, 野村 則和1, 中井 洋佑1, 神谷 信次1, 須田 久雄1, 大下 裕法2, 篠原 務2, 犬飼 幸子2, 三島 晃1 (1.名古屋市立大学病院 心臓血管外科, 2.名古屋市立大学病院 心臓血管外科)

Keywords:肺動脈拡張, 肺動脈弁欠損, 弁形成術

【背景】肺動脈拡張は極めて稀な疾患である。肺動脈拡張は破裂、解離のリスクだけではなく肺塞栓のリスクともなると考えられる。今回我々は肺動脈拡張の手術について経験したので報告する。【症例】11歳、男児。胎児期より肺動脈弁狭窄症及び閉鎖不全症を認め、ファロー四徴症、肺動脈弁欠損を疑われていた。他院にて出生。出生後の心エコー検査にてSevere PS, severe PR, PFO, PDAの診断となり、自然経過にてPDAは閉鎖した。退院後の当院での外来経過観察中に肺動脈の拡張の増悪を認めた。術前の検査では主肺動脈はφ53mmと著明な拡張を認め手術適応とした。PS, PRはともに軽度~中等度で手術適応はないと判断した。手術は人工心肺補助、拍動下にて手術を施行した。手術は術前にY字に縫合したGore-Tex ePTFE graft 20mmを用いて主肺動脈よりそれぞれ左右肺動脈へ人工血管を吻合した。術中肺動脈弁の性状を確認すると肺動脈弁の1弁欠損を認めた。そのため、残存する2弁の弁尖を移行し2弁による形成術を施行したが、肺動脈吻合後の心エコーにてsevere PSが残存し人工心肺離脱困難となった。肺動脈弁再形成の適応と判断し、残存する2弁の弁尖を戻しGore-Tex ePTFE 心膜シートを用いて欠損した肺動脈弁の補填を行った。その後は心エコーにてmild PS, mild PRとなり手術終了となった。術後経過は良好で、PS, PRの増悪は認めていない。【考察】シャントを有する心疾患、肺高血圧症などを合併するものは報告があるが、それ以外の報告は少ない。今回の症例では術前から肺動脈弁欠損による肺動脈弁狭窄及び閉鎖不全症を認めており、弁欠損による不均一な血流動態が肺動脈拡張に寄与していた可能性が考えられた。術中に肺動脈弁形成を追加し良好な結果をえることができたが、術前の評価で肺動脈弁欠損を考慮可能であれば自己心膜などによる形成を検討しえたことは反省点と考える。