第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 11 (III-S11)
学校心臓検診今後の問題

2017年7月9日(日) 08:30 〜 10:00 第1会場 (1F 展示イベントホール Room 1)

座長:岩本 眞理(済生会横浜市東部病院 こどもセンター総合小児科)
座長:住友 直方(埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科)

08:30 〜 10:00

[III-S11-03] 学校心臓検診で抽出すべき心疾患

牛ノ濱 大也1, 住友 直方2 (1.大濠こどもクリニック, 2.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

キーワード:学校心臓検診, 突然死, 不整脈

学校心臓検診では心電図検査を行うことが必須となっており、様々な心電図所見、不整脈が抽出されている。しかしながらその後の検査・管理方法には地域、医師により差があり統一された方法は取られていない。今回、重篤な症状を呈する可能性のある心電図所見、不整脈を中心に統一した管理方法を提言したい。心室期外収縮 QT延長 デルタ波、症状(特に失神、眼前暗黒感)に関しては、特に危険な不整脈疾患が含まれている可能性があり、左室肥大には肥大型心筋症が含まれ突然死を予防すべき疾患である。これらの心電図所見、不整脈、症状が指摘された児童・生徒に対して地域に差がなく管理を行う必要があると考えられる。心室期外収縮ではカテコラミン誘発多形性心室頻拍について注意が必要と考えられる。運動などの交感神経緊張が本不整脈を誘発し突然死の原因となりうる。したがって心室期外収縮を認めた場合、症状の有無、家族歴の確認とともに、運動負荷心電図検査が必要である。QT延長症候群は様々な誘発因子があるため、運動負荷心電図のみならずHolter心電図検査まで行う必要があると考えられる。WPW症候群ではごく一部の患者で突然死のリスクがあることが報告されている。しかしながら非観血的検査でリスク層別化を行う方法が提言されていない。WPW症候群では、Ebstein病、僧帽弁逸脱、肥大型心筋症の合併がある場合があり心電図検査のみでなく、心エコー検査も必要である。学校心臓検診の一つの目標は突然死予防にあると考える。突然死自体は極めて稀な疾患でありすべての患者を心事故前に抽出することは容易ではない。スクリーニングであり抽出できないものがいることも公表していかなければならないと同時に、児童・生徒・地域差がない抽出後の管理方法を作成していくことも重要な課題である。