第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 11 (III-S11)
学校心臓検診今後の問題

2017年7月9日(日) 08:30 〜 10:00 第1会場 (1F 展示イベントホール Room 1)

座長:岩本 眞理(済生会横浜市東部病院 こどもセンター総合小児科)
座長:住友 直方(埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科)

08:30 〜 10:00

[III-S11-05] 大学における心臓検診

久賀 圭祐 (筑波大学 医学医療系 循環器内科)

キーワード:検診, 循環器疾患, 大学

大学においては学校保健安全および同施行規則に基づき検診が行われる。心臓の疾病及び異常の有無について心電図その他の臨床検査によるが、大学の全学生については心電図検査を除くことができる、とされている。【1次検診】「2015年国立大学アンケート」(70校回答)では、全校で内科診察を行っており、全員に実施:45校、1年生のみ:15校、希望者のみ:5校、胸部聴診実施せず:2校、であった。53校で心電図を実施しており、全員に実施:2校、1年生にのみ実施:22校、であった。大規模私立大学34校では、内科診察は、全員に実施:9校、1年生のみ:4校、希望者のみ:2校、であった。【心電図検査】「健康白書2005」(2005年度、全国の国立大学対象)では、心電図検査は75校中の44校(58.7%)、対象学生408119名のうち32620名(8.00%)に実施され、約半数(15591名、46.7%)が18歳で、1年生のみに限定している大学が多い。「2015年国立大学アンケート」(70校回答)では、統一された方針はなく各大学独自の基準で実施され、心電図検査は53校で実施され(全員:2校、1年生のみ:22校、運動に関わる学生:28校)、実施件数は1校あたり平均629±997人であった。大規模私立大学34校のうち26校で実施され(全員:なし、1年生のみ:8校、運動に関わる学生:28校)、実施件数は1校あたり平均1968±2403人であった。【1次検診結果】「学生の健康白書2005」では、心電図有所見学生は14.0%(男16.8%、女9.6%)であった。【2次検診結果】「要精検」の基準はなく、2次検診の実態は不明である。【管理方針】大学では、各施設独自の基準で判定しており、判定委員会もなく、小児領域の循環器検診とは大きく異なっている。小児時期の系統的な心臓検診の結果、循環器疾患の多くは大学の前にすでに診断されている。近年、途上国からの留学生が急増し未治療の先天性心疾患や遺伝性不整脈が初めて診断される例も見られ、対応が必要である。