第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 12 (III-S12)
成人領域のチーム医療

2017年7月9日(日) 10:25 〜 11:55 第1会場 (1F 展示イベントホール Room 1)

座長:松尾 浩三(千葉県循環器病センター 成人先天性心疾患診療部)
座長:満下 紀恵(静岡県立こども病院循環器科)

10:25 〜 11:55

[III-S12-03] 成人先天性心疾患に対するチーム医療 ~麻酔科医の立場から~

住江 誠 (九州大学病院 手術部)

キーワード:成人先天性心疾患, チーム医療, 麻酔科

先天性心疾患(CHD)は約1%の発症率で、2015年の出生数が約100万人であることから、年間約1万人のCHD児が誕生していることになる。またCHD児の90%以上が成人となり、2007年には国内に40万人以上の成人先天性心疾患(ACHD)患者がいると言われている。 麻酔科領域においても近年ACHDの臨床経験をまとめた報告やACHDを対象とした後ろ向き研究が散見されるようになった。症例報告ではそれぞれの臨床状況に応じて適切な麻酔管理がなされ良好な転帰が得られているものの、ACHDは術後死亡率に関する独立した危険因子であるとの報告がある。当施設においては2013年4月から2016年12月までの期間、10例のフォンタン術後と25例のファロー根治術後の成人患者に対する手術を施行しており、それぞれ内6例は非心臓手術であった。またACHDを有する妊婦に対して無痛分娩を施行しており、上記期間で9例のACHD患者が無痛分娩を施行された。内訳はファロー四徴症術後が5例、完全大血管転位症術後が1例、大動脈縮窄症術後が1例、総肺静脈還流異常症術後が1例、修正大血管転位症が1例であり、いずれの症例も母児ともに周産期の経過は良好であった。 麻酔科医はACHDに対する心臓手術のみならず、ACHD患者の非心臓手術や周産期における帝王切開術の麻酔および無痛分娩などにおいて全身管理を提供する必要がある。今後増加することが予想されるACHD患者に対して、各診療科と連携を取りながら、安心して手術を受けられるような、また周産期を過ごすことができるような医療を提供していく必要がある。