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[III-S12-05] 成人先天性心疾患患者への看護師の役割の検討 ~過去・現在・未来~
キーワード:成人先天性心疾患, 看護師の役割, チーム医療
近年、先天性心疾患患者のライフステージの変化に合わせ、成人を専門とする診療科:循環器内科への移行が必要とされてきている。小児期早期から継続的医療を受けている患者・家族は、循環器内科医師と、今まで診療をしてもらっていた小児科医師との間に「関わりの方の違い」を感じ戸惑うことが少なくない。また、成人期は、親から自立し自分で生活を形成していく時期であり、診察時にも主体は患者自身となる。そのため患者自身が医師と話し合うこと、自分の疾患や生活の留意点を理解していることが必要である。当院循環器内科では、2011年4月より成人先天性心疾患患者を対象とした診療を開始した。患者の多くは、小児期から成人期に移行期の患者である。そして、当院には小児循環器疾患を専門にする診療科がないため、他院からの紹介受診が多数を占めている。そこで、2015年5月より、初診の先天性心疾患患者専用の問診票を作成し、疾患名・生活上の留意点・感染性心内膜炎の予防方法の理解・必要な社会資源の活用の現状について確認している。また、初回診察に同席し、その後看護師が、医師からの説明の理解度を確認し、必要時理解を深めるための補足説明を行っている。初診以降も、看護師との面接を必要と判断した場合には継続的な面接を行っている。先天性心疾患患者の小児期から成人期への移行期では、先天性心疾患患者が「自分の心臓とともに生きる。」といったことを大切にし、社会生活を築いていけるように看護を行うことが大切だと考える。それには、理学療法士、ソーシャルワーカー、心理療法士、助産師など関係職種と協働し、チームでアプローチすることが大切である。そして、看護師にはその協働をコーディネートする役割がある。まだまだ、活動半ばではあるものの、先天性心疾患を持つ患者が、「自分の心臓とともに生きる。」ことをサポートしていきたいと思う。