第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 13 (III-S13)
次世代の育成

2017年7月9日(日) 08:30 〜 10:00 第4会場 (1F 展示イベントホール Room 4)

座長:角 秀秋(福岡市立こども病院 心臓血管外科)
座長:安河内 聰(長野県立こども病院循環器小児科)

08:30 〜 10:00

[III-S13-04] PICUを持つ大学病院における次世代育成の現状と課題

平田 陽一郎1, 進藤 考洋1, 犬塚 亮1, 平田 康隆2, 岡 明1 (1.東京大学 医学部附属病院 小児科, 2.東京大学 医学部付属病院 心臓外科)

キーワード:学生, PICU, 初期研修医

小児循環器領域における次世代育成には、様々な側面がある。小児科医あるいは心臓外科医となり、先天性心疾患診療に携わるようになって以降の教育も非常に重要であることは論を俟たないが、それ以上に、まず小児疾患診療自体に興味を持つ医学生および初期研修医を数多く育成することが、小児循環器診療の裾野を広げる意味で重要であると考える。 当院は、全国的にも極めて珍しく、PICU(Pediatric Intensive Care Unit) を有する国立大学病院であり、新生児期から成人期までの幅広い患者を対象としている。同時に、国内における3つの小児心臓移植認定施設のうちの1つであり、対象地域内のさまざまな病院から小児重症心不全患者を受け入れ、補助人工心臓の植え込みも行っている。さらに、東京都東部地域の4次救急患者受け入れ施設として、溺水・外傷・脳炎/脳症などの患者に対する集中治療も担っている。これら先天性心疾患、重症心不全、救命救急まで幅広い症例を経験できる施設として、当院は小児集中治療に興味のある学生・研修医に対してきわめて魅力ある施設であるといえる。 そこで我々は、学生および研修医指導担当者を決め、積極的にチーム内カンファランスに参加させるほか、朝夕の病棟回診時などに受け持ち患者のプレゼンテーションをさせている。また初期研修医を対象として、受け持ち患者の問題点と解決方法について深く考察した「初期研修医発表会」を月1回開催し、専門的で敬遠されがちな先天性心疾患診療を、論文検索も含めて丁寧に指導できる工夫を行っている。これらはスタッフにとってかなりの負担になっている面もあるが、この努力によって小児循環器や小児集中治療分野を志す若者が徐々に増えている。今後は、臨床的側面だけではなく、基礎的研究の視点も織り交ぜた、さらなる多角的な教育の充実を目指している。