第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 13 (III-S13)
次世代の育成

2017年7月9日(日) 08:30 〜 10:00 第4会場 (1F 展示イベントホール Room 4)

座長:角 秀秋(福岡市立こども病院 心臓血管外科)
座長:安河内 聰(長野県立こども病院循環器小児科)

08:30 〜 10:00

[III-S13-05] 短期留学のススメ

松尾 久実代 (大阪母子医療センター 小児循環器科)

キーワード:育成, 短期留学, スペシャリスト

小児循環器領域は専門性が高く重症例の多い分野である。小児循環器医として成長するために必要な事を自分の経験をもとに考察した。先天性心疾患に興味を持ち、小児循環器科を専攻した。後期研修終了後3年間静岡県立こども病院で研修を行った。インターベンション/心エコー/胎児心エコー/不整脈/MRIなど各スペシャリストのもと、心疾患の基礎を学んだ。インターベンションに興味を持ち、経験を積むためにベトナムに3ヶ月間短期留学をした。3ヶ月間で150例以上のインターベンション症例を経験することができた。スペシャリストから集中的にインターベンションを学ぶ事で細かい手技が身につき、様々なトラブルシューティング方法も学び、自信もついた。その後地元の大阪母子医療センターで勤務している。今年度はAHA-JSPCCS交換留学で3ヶ月間 Children’s Healthcare of Atlantaに留学させて頂いた。エコー/MRI/カテーテル/移植など各分野に複数人のスペシャリストがいる事、規模の大きさ、手術時期の違い、病床の回転の速さ、レジデントへのレクチャーの充実度などに驚く事ばかりであった。複数人のスペシャリストがいる事で疑問を徹底的に議論し合える環境を羨ましく感じた。当たり前と思ってきた治療法への違ったアプローチ方法や文化の違いを体験し、視野が広がった。現在の日本では病院が集約化されていないために、各病院の医師数や症例数は少なく、スペシャリストは不在のことも多い。その中複雑な症例への対処法、手技を学ぶには経験と工夫、努力が必要である。日本小児循環器学会のAHA,AEPCとの交換留学は学会からの正式な交換留学であり、自分の経験や知識の習得には絶好の機会であった。一方で長期間病院を留守にするためには職場仲間や上司の理解が重要である。現時点ではそれが難しい施設も多いと感じ、若手医師が国内/国外留学をしやすい環境や学会の教育制度充実が期待される。