The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Free Paper Oral(multiple job category)

社会・家族支援・スタッフ教育

Free Paper Oral(multiple job category)5 (III-TRO5)

Sun. Jul 9, 2017 8:30 AM - 9:20 AM ROOM 2 (Exhibition and Event Hall Room 2)

Chair:Noriko Nakazawa(Nursing unit .Mt.Fuji Shizuoka Children Hospital)

8:30 AM - 9:20 AM

[III-TRO5-05] 小児循環器看護における継続教育への一考察 ―新人研修においてペーパーペイシェント型シナリオトレーニングを実施して―

笹川 みちる, 松室 有希 (国立循環器病研究センター 看護部)

Keywords:小児循環器看護, 継続教育, シナリオトレーニング

【目的】小児循環器看護は多様な看護実践能力が求められるが効果的な継続教育方法についての先行研究は少ない。今回、循環器専門A病院の新人研修で実施したシナリオトレーニングを振り返り、教育方法について示唆を得たため報告する。発表は当該看護部の許可を得た。
【研修の実際】看護実践の基礎である看護過程を臨床現場で展開する力を養うことを目的に企画した。シナリオは4場面で作成し、1)未手術VSDの1歳児が感染契機に有症状となり入院、2)2日目に自宅で確実な与薬ができていなかったなどの家族の知識不足や手術に対する不安が顕在化、3)4日目午前には症状改善し活気が戻ったことで自己抜去などのリスクが増加、4)4日目午後に食欲が回復した児に家族が制限を超えて水分を与え病状悪化、とした。演習は、場面1)の情報から関連図を作成、抽出した問題点から看護計画を立案し、その後の追加提示された場面の情報で、計画を評価・修正する方法とした。
【結果】肺血流増加の病態をベースに患者の個別性を書き加える形で関連図を作成するのに時間を要したが、それらが整理されると看護計画の立案・修正は臨床現場での実際の経験と繋げてスムーズに実施できた。新人看護師の反応は「日頃の観察やケアの意味がわかった」「家族も含めてこんなに予測しなければならないと感じた」であったが「現場ではこんなにゆっくり考える時間がない」との意見もあった。
【考察】場面を複数回展開する演習は小児循環器看護に重要なアセスメントを繰り返しながら病態を理解することへのシミュレーション学習となり、精神・社会の側面からもシナリオ作成したことは、生命維持のために身体面の重きをおきやすい循環器看護において、患者を全人的に捉える視点への学びに繋がったと考える。今後は現場の機会教育においてシナリオとの類似場面を的確に捉え、集合研修での学びを臨床現場と繋げるための更なる工夫が必要と考える。