The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Free Paper Oral(multiple job category)

心理・プレパレーション

Free Paper Oral(multiple job category)6 (III-TRO6)

Sun. Jul 9, 2017 9:20 AM - 10:20 AM ROOM 2 (Exhibition and Event Hall Room 2)

Chair:Masako Aoki(Musashino University, Faculty of Nursing)

9:20 AM - 10:20 AM

[III-TRO6-01] 心臓移植に伴う転院における心理社会的視点での情報共有

作田 和代 (静岡県立こども病院 成育支援室)

Keywords:心理社会的支援, 心臓移植, 転院

【背景】心臓移植を受ける決断をした子どもと家族は、治療の内容により転院したり、移植を行うために心臓移植実施施設または海外の施設に転院することになる。転院は環境の変化が大きく、子どもの不安・葛藤・混乱などの心理的負担を強くする恐れがある。それらの心理的負担を予防・軽減するためには、施設間での医療や看護の情報共有はもちろん、心理社会的視点での情報共有も必要となる。【目的・方法】心臓移植を受ける子どもが転院する際、心理社会的支援を行う職種である、Child Life Specialist(CLS)、Hospital Play Specialistの資格を有する保育士、子ども療養支援士、米国のCLSが連携した事例を経験した。この事例における連携を後方視的に振り返り、継続した支援のために必要な情報を整理し、子どもや家族への効果を考察した。【結果】心理社会的支援を行う職種間で情報を共有した内容は、アセスメントに基づいた、「子どもの現状認識と使っている言葉」「子どもの主体的な対処の方法」「医療者に対して・家族間で・子ども同士でのコミュニケーションの取り方」「転院の目的や今後の見通しについての本人の認識」「家族構成とそれぞれの役割」「施設間の入院環境に関する違い」であった。また、転院先から「入院オリエンテーション資料」「病棟や主に関わる人の写真」「スタッフからの肯定的なメッセージ」の提供があった。これらの情報は、子どもに関わる多職種で共有された。【考察】子どもの認識やコミュニケーション方法の情報は、子どもと医療者が継続的に共通の言語的・非言語的表現を使うことにつながり、更に対処方法が尊重されることで、子どもの主体性が守られた。また、環境が違う中でも迎えられている雰囲気を感じることで、子どもと家族は安心感を得て転院することができた。これらにより転院する子どもの心理的負担を軽減することは、子どもが主体的に移植に向かう一助になると示唆される。