第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

心理・プレパレーション

一般口演(多領域専門職部門) 6 (III-TRO6)
心理・プレパレーション

2017年7月9日(日) 09:20 〜 10:20 第2会場 (1F 展示イベントホール Room 2)

座長:青木 雅子(武蔵野大学 看護学部)

09:20 〜 10:20

[III-TRO6-05] 循環器病棟でのファシリティドッグの活動を看護の視点から振り返る

加藤 水希 (静岡県立こども病院 看護部 循環器病棟)

キーワード:ファシリティドッグ, ストレス軽減, コミュニケーション

【背景】ファシリティドッグ(以下FDと略す)とは愛情と安らぎを与えるよう専門的なトレーニングを受けた犬のことである。一つの施設に常勤し継続的なメンタルサポートをするのが最大の特徴である。当院では2010年より導入、2012年からハンドラーとともにFDのヨギが活動している。検査中児に寄り添い、処置後の安静時間を一緒に過ごす等様々な活動をしている。現在FDは国内に2頭しかおらず文献も少ない。そこで、FDの活動を看護の視点から振り返る。【目的】FDの活動がどのような効果をもたらしたのか明らかにする。【方法】20xx年に入院していた学童後期女児とヨギとの関わりを振り返る。本研究の倫理的配慮について看護部の承認を得ている。【結果】(介入前)児は先天性心疾患のため幼少からCVを留置し持続点滴を行っており、学校生活で制限があった。今回の入院では薬剤調整のため長期入院が必要とされた。児の自宅は遠方のため面会は週に2回だった。児は院内学級に通う以外に、同室児とゲームで遊び単調に過ごすことが多かった。(介入後)ヨギが病棟に来る日を心待ちにし、ヨギが訪室すると同室児や母と共に触っていた。ヨギと関わり児に笑顔が多くみられ、児、母、医療者間でヨギの事を話す機会が増えた。【考察】循環器疾患の患児は生命危機に直結したり、行動が制限される場合がある。児は入院生活の中で家族と離れる寂しさ、長期入院によるストレス、病気と向き合う不安を抱えていた。定期的にヨギが訪室し、スキンシップを図ることで安心感へとつながり、他児との交流が深まる機会となった。単調な入院生活がヨギと触れ合うことで刺激となり、入院生活や治療を頑張ろうという気持ちが高まった。さらに、ヨギを通し児、母、医療者間のコミュニケーションを図るきっかけになった。【結論】FDと関わり病気に対する不安や入院のストレスが軽減した。FDとハンドラーと協働し看護を実践することが今後の課題である。