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[III-TRP3-01] CCU病棟におけるバンコマイシンTDMの取り組み
キーワード:CCU, TDM, バンコマイシン
【目的】循環器集中治療病棟(CCU)では、2013年9月から薬剤適正使用と医療安全向上を目的として病棟薬剤業務を開始した。病棟薬剤業務において抗菌薬の薬学的管理は重要な業務であり、その中でもバンコマイシン(VCM)は薬物治療モニタリング(TDM)が必要とされ、薬剤師による介入が求められる薬剤である。本研究では現在行っているVCM のTDM業務について報告する。【方法】CCUに入院しVCMを使用した患者を対象とし、患者背景(年齢、体重、体外循環装置の有無、投与目的等)、VCM血中濃度測定及び解析件数、介入率、処方変更提案率、提案受諾率を調査した。解析の精度評価を目的として、投与方法変更症例のトラフ濃度10~20 μg/mLへの到達率を調査した。なお、本研究は倫理委員会の承認を得ている。【結果】対象患者は28名であり、年齢中央値0.86歳(15日齢~17歳)、体重中央値6.02 kg (2.72~35.6 kg)、体外循環装置を使用した症例3件(体外式膜型人工肺(ECMO)・持続的血液透析濾過療法(CHDF)2件、腹膜透析(PD)1件)、投与目的は予防18件、治療15件であった。VCM血中濃度測定件数は98件であり、解析件数は44件、介入率は89%となった。また処方変更提案率は91%(増量:20件、維持または増量:1件、減量:19件)、処方変更提案に対する受諾率は98%であった。投与量変更後、血中濃度評価が可能だったのは22件、そのうち推奨トラフ濃度に到達した割合は77%だった。【考察】CCUの患者年齢は新生児から成人期と幅広く、術後の体内動態の変動や体外循環装置の使用などの特殊性もあることからTDMの重要性が再認識された。血中濃度測定患者には9割以上で介入することができ、処方提案に対してはほぼ全例で受諾された。その結果、概ね推奨トラフ濃度へ到達しており、VCMの適正使用に薬剤師が十分貢献できることが示唆された。今後はさらなる介入率及び解析精度の向上に努めていきたい。