The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster(multiple job category)

心理・プレパレーション

Poster(multiple job category)4 (III-TRP4)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 1:25 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Kana Harada(Toho University Omori Medical Center)

1:00 PM - 1:25 PM

[III-TRP4-01] 長期入院によるストレスを自傷行為で表現した子どもへの看護ケアの実際

岸田 千春, 上甲 貴江, 平野 麻実子 (広島市民病院)

Keywords:長期入院, ストレス, 学童期

【背景】重症先天性心疾患患児ではしばしば長期入院が必要になるが、子どもは自分の思いを上手く表現できず、強いストレスを受けていることが伝わりにくい。今回、肺動脈閉鎖、心室中隔欠損術後で肺高血圧、右心不全を伴い、入院中自傷行為が持続した22番染色体微細欠失症候群の10歳女児の事例を経験した。【目的・方法】自傷行為でストレスを表現した重症CHD患児の経過を振り返り、長期入院が必要となる子どもに対する看護のあり方、看護師の役割を明らかにする。【倫理的配慮】患児と家族に説明を行い、承諾を得、A病院倫理委員会の承認も得ている。【結果・考察】ストレス軽減を目的とした看護ケアとして、まず患児と看護師で1日の時間割を作成し、短時間でもプレイルームや院内学級を個別利用できるよう調整した。厳しい安静度の中、遊びは心身に静的なものを保育士と相談し提供した。次に家族団欒の食事時間を取り入れた。意識的にバランスの取れた食事を摂取できるように食物の栄養素を色分けしたシールを貼って花を作るパンフレットを作成した。偏食が改善し花のシールの色に変化がみられた。さらに学童期の女児である患児が思いを表現するために、看護師や医師との交換日記を提案した。患児は積極的に日記を書いて文章に思いを表出し、次第に話す言葉に思いを表現できるようになった。また患児との関わりに悩んでいた家族に対しては、患児と離れて気持ちの整理ができるための時間を創るように調整した。環境にメリハリがつき、思いが表出でき始めると患児の精神状態は安定し、自傷行為は消失した。右心不全、肺高血圧も軽快し入院5か月目に退院となった。【結論】入院中でも子どもらしい生活リズムを整えることは重要である。年齢・性格に合わせた看護介入を行い、看護師・医師・保育士がチームで関わることで、子どものストレスは軽減し、自傷行為は消失した。さらには家族の精神的支援にも繋がった。