[I-MOR01-04] Fontan術後患者の幼児期における発達評価と頭部MRIの相関
キーワード:Fontan, 発達, MRSpectoscopy
【はじめに】Fontan術後の頭部MRIと発達予後の関連を検討する報告は少ない。【目的】Fontan術後患者の幼児期における精神運動発達とMRI所見について考察する。【対象・方法】Fontan術後で2013年7月から2017年12月の間に新版 K式発達検査(K式)を受け、かつFontan術後1年で心臓カテーテル検査と同時期に頭部MRIを施行した幼児28例(男:16人、年齢:1.5-4歳)の診療録を後方視的に検討した。K式(姿勢・運動発達指数:Postural-Motor=PM、認知・適応発達指数:Cognitive・Adaptive=CA、言語・社会発達指数: Language・Social=LS)の発達指数については70以下を遅滞、85以上を正常と定義した。PM、CA、LS指数と頭部MRI/MRS(MR-Spectroscopy)結果を比較検討した。MRSに関しては、基底核、白質のN-acetylaspartate(NAA)・Choline(Cho)及びその比を計測し、発達予後良好例と不良例で比較した。【結果】頭部MRI及びK式を施行したのは28例。K式施行時年齢の中央値は2歳5ヶ月(1歳6ヶ月-3歳7ヶ月)、頭部MRI撮影時年齢の中央値は2歳4ヶ月(1歳9ヶ月-2歳11ヶ月)。K式のDQは70以下(全領域=4例、PM=10例、CA=2例、LS=9例)、70-85(全領域=9例、PM=5例、CA=9例、LS=9例)、85以上(全領域=15例、PM=13例、CA=17例、LS=10例)であった。PM70以下の症例では、MRSで基底核のNAA/Cho比が有意に低かった(1.69±0.37 vs1.98±0.31,p=0.04)。CA、LSでは頭部MRS数値で有意差を認めなかった。【考察・結語】従来NAA/Cho比は脳成熟に伴い増加する指標として用いられるが、本検討では基底核NAA/Cho比とPMに正の相関を認めた。基底核の異常がFontan術後の運動発達不良に関与している可能性が示唆された。