[I-MOR02-01] 幅広い用途が考えられる小児PAHに対するTreprostinil療法
キーワード:Treprostinil, 皮下投与/静脈内投与, 小児肺動脈性肺高血圧症
【背景】Treprostinil(Trep)は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対して持続静脈内投与(div)に加えて持続皮下投与(sc)が可能なプロスタグランジンI2誘導体製剤で、日本国内では成人症例の集積はあるが小児症例は少ない。また、小児症例に対する適応は明確に定まっていない。今回、小児PAHに対してTrep(sc)を導入した5例、Trep(div)を導入した1例を報告する。【Trep(sc)症例】年齢は9~15歳で男児3例、女児2例であった。中心静脈カテーテル(CV)管理が困難と判断し、新規導入した2例と、CV感染または血栓閉塞のためEpoprostenol(Epo)(div)から切り替えた3例であった。切り替え例では、Trep(sc)投与量はEpo(div)投与量の1.3倍が2例、1.5倍が1例であった。全例で注射部位疼痛以外の副作用を認めなかった。鎮痛薬としてオピオイドを要した例は他施設の2例のみであった。【Trep(div)症例】16歳男児。血小板減少によりEpo(div)投与量を効果的に増量できなかったため、Trep(div)に切り替えた。切り替え後、血小板減少とともに顔面紅潮・下痢も改善し、Epoの2倍量までTrep投与量を増量した。【考察】Trep(sc)は小児でも忍容性良好で、Epo(div)管理困難児への追加強化療法、静脈内投与ができない場合の代替療法、Epo(div)を離脱し内服薬へ移行する際のbridging therapyとして有用と思われる。Trep(div)は、重症児であるにも関わらず合併症のためEpo(div)の継続や増量が困難な場合の代替療法として、成人同様考慮すべき唯一の選択肢かもしれない。