第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ミニオーラルセッション

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ミニオーラルセッション02(I-MOR02)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

2018年7月5日(木) 15:00 〜 15:35 ミニオーラル 第1会場 (311)

座長:中山 智孝(東邦大学医療センター大森病院 小児科)

[I-MOR02-05] 当院における心臓手術後呼吸管理の変遷と結果

岩城 隆馬1, 大嶋 義博1, 松久 弘典1, 日隈 智憲1, 村上 優1, 青木 一憲2, 黒澤 寛史2 (1.兵庫県立こども病院 心臓血管外科, 2.兵庫県立こども病院 集中治療科)

キーワード:先天性心疾患, 呼吸管理, 気胸

背景先天性心疾患術後の呼吸管理は術後の循環動態に直接寄与する重要な因子である。特に乳児期早期においては脆弱な肺組織が原因となる肺障害が危惧され,より慎重な呼吸管理が求められる。当院における心臓手術術後管理の変遷から,呼吸管理に伴う肺障害につき検討した。方法当院は2016年5月に新病院に移転,心臓術後管理の中心が新設された集中治療科に移行した。呼吸管理の主な変更点として,人工呼吸管理中の基本の吸痰様式が閉鎖式となり,又,用手換気を自己膨張式から流量膨張式へ変更,吸痰時の肺虚脱及び急激な肺加圧を避ける方針となった。加えて抜管後に非侵襲的陽圧管理(NPPV)を積極的に用いることで可能な範囲の早期抜管を目指し,抜管後の努力呼吸に伴う肺障害の予防に努めている。当院にて開心術を施行した日齢60未満の患児をA群(変更前,2014年1月から2016年4月,106例),B群(変更後,2016年5月から2017年12月,60例)の2群に分け,気胸,肺炎発生率,再挿管の頻度,挿管期間につき検討を行った。結果人工呼吸管理中に外科的介入を要する気胸の合併はA群vs B群:5例vs 0例(P=0.0325)とA群で有意に発生率が高かった。人工呼吸関連肺炎の合併はA群vs B群:3例vs 1例(P=0.629)と有意差を認めなかった。挿管期間及び再挿管の割合はそれぞれA群vs B群:11.8日vs 7.7日(P=0.053),4例vs 0例(P=0.0563)とB群で挿管期間は短く,再挿管の割合は少ない傾向にあった。結論現在の術後管理体制に移行した後,人工呼吸管理中に合併した気胸の発生率は優位に低下した。吸痰時の肺虚脱及び過剰な加圧を予防する方針が奏効した結果と考えられる。又,現状の方針では挿管期間を短縮した上で再挿管の割合が低下しており,より安定した呼吸管理が施行できているものと考えられる。