[I-MOR04-01] 術後ファロー四徴症において小児期の肺動脈弁逆流および狭窄が成人期の右室サイズに与える影響についての検討
Keywords:ファロー四徴症, 成人先天性心疾患, 肺動脈弁閉鎖不全症
背景: 修復術後のファロー四徴症(rTOF)では、肺動脈弁閉鎖不全(PR)が遠隔期の右室拡大のリスクとされている。近年では右室流出路狭窄が存在すると右室拡大を予防できる可能性が指摘されているが、小児期の肺動脈狭窄(PS)が成人期rTOFの右室拡大の予防に有用かについては明らかではない。方法: 当院に通院している成人rTOF症例30例(年齢24.7±5.6歳、男性15例)を対象とした。小児期のPRとPSは心エコーにて評価を行い、PSは右室流出路での圧格差25mmHg以上と定義した。成人期の右室容積はMRIで計測し、体表面積で補正した(RVEDVi)。結果: 完全修復術が行われた年齢は3.2±3.3歳で、transannular patch (TANP)は21例(70%)に施行されていた。小児期に実施された心エコー時年齢は7.3±3.3歳であり、その後平均15.7±2.7年後に成人期の評価が実施された。小児期に中等度以上のPRを認めたのは20例、PSを認めたのは15例で、うちPRとPSともに認めたのは7例であった。PRを認める症例では成人期のRVEDViが有意に大きかったものの(PR(+) 120.2±34.9 vs. PR(-) 84.0±20.3 ml/m2, P = 0.006)、PSの有無ではRVEDViに差を認めなかった(PS(+) 113.0±35.2 vs. PS(-) 103.3±35.5 ml/m2, P = 0.548)。しかし、PRを伴う症例の中でPSがある症例はPSがない症例よりもRVEDViが有意に小さかった(PR(+)PS(+) 90.6±11.0 vs. PR(+)PS(-) 136.1±33.0 ml/m2, P = 0.003)。小児期のPRは年齢、性別、TANPの有無で補正した後も成人期の右室拡大(RVEDVi > 110 ml/m2)の独立した規定因子であった(OR 13.2, P = 0.026)。結論: rTOFにおいて小児期のPSの有無は成人期の右室拡大に影響を与えなかった。しかし、PRがある症例に限ればPSは右室拡大に予防的に作用する可能性が示唆された。