第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

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一般口演01(I-OR01)
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2018年7月5日(木) 17:30 〜 18:40 第2会場 (301)

座長:石川 友一(福岡市立こども病院 循環器センター 循環器科)
座長:脇 研自(倉敷中央病院 小児科)

[I-OR01-01] CMRによる心房中隔欠損の評価: 治療適応評価から欠損孔形態評価まで

佐藤 慶介, 土井 悠司, 内山 弘基, 田邊 雄大, 石垣 瑞彦, 芳本 潤, 金 成海, 満下 紀恵, 新居 正基, 田中 靖彦 (静岡県立こども病院 循環器科)

キーワード:心房中隔欠損, 心臓MRI, 心臓カテーテル検査

【背景】心房中隔欠損(ASD)の治療適応を検討する際に,短絡量や肺体血流比などの血流評価や右室容量負荷の評価が必要である。CMRは被爆や侵襲的な処置を要さずに血流や心室容量の評価が可能であり,さらに形態的な評価も可能であることから,ASDの評価においては比較的大きな範囲を扱うことが可能であると思われる。【目的】ASD症例におけるCMRの臨床的な意義について検討すること。【方法】2014年1月から2017年12月までの間に当院でCMRを行ったASD41症例44検査について,後方視的に検討した。【結果】検査時の年齢は14.5±4.3歳であった。肺体血流比は1.66±0.50であり,体表面積あたりの右室拡張末期容積と右室収縮末期容積は各々143.9±41.0ml/m2,67.0±22.4ml/m2であった。無症候性ASDは33症例36検査であり,症候性ASDは8症例8検査であった。無症候性ASDで治療適応と判断したものは22例であり,デバイス閉鎖適応が17例,外科治療適応が5例であった。また,CMRを複数回行ったものは3例あり,うち2例は肺体血流比増加ないしは右室容量負荷増大がありデバイス閉鎖となった。また,診断のための心臓カテーテル検査を行ったものは多発奇形を有する1例のみであった。有症候性ASDは肺高血圧合併3例,右室低形成1例あり,これらの症例に対して診断のための心臓カテーテル検査を行った。また,治療適応と判断したものは5例であり,デバイス閉鎖適応が4例,外科治療適応が1例であった。なお,検査時に安静を保つことが困難と判断した2症例2検査を除き,鎮静処置を要さなかった。【まとめ】無症候性ASDはほぼ診断のための心臓カテーテル検査なく治療適応の判断が可能であった。しかしながら,肺高血圧・右室低形成・多発奇形などの合併症がある症例については,心臓カテーテル検査と組み合わせて評価が必要であり,CMRにこだわらない適切なモダリティ選択が必要と思われる。