[I-OR01-02] T1 mappingを用いた造影MRIにより心筋性状を評価した4症例の検討
キーワード:MRI, 心筋, T1 mapping
【背景】心臓MRIにおいて遅延造影のみによる心筋性状評価は、相対評価のため時に不正確となる。近年開発されたT1 mappingはextra cellular volume (ECV)と組み合わせることで、心筋の浮腫はT2強調画像より鋭敏に評価でき、また、線維化や細胞間質の増加をより詳細に評価可能である。【目的】心筋性状評価におけるT1 mappingを用いた造影MRIの有用性を検討する。【方法】2017年1月から2018年1月にキャノンメディカル社のVantage Galan T3で心臓MRIを施行した4例において、遅延造影にMOLLI法を用いたT1 mappingを併用して心筋性状を評価できるか検討した。【症例1】13歳女児。心筋炎後の拡張型心筋症に対しエナラプリル内服中。自覚症状は認めず。MRI上心基部近傍の左室前壁にのみ遅延造影効果を認めたが、T1 mappingでは心基部および心尖部中隔にもT1値の上昇を認めた。ECVは正常範囲であった。【症例2】16歳女性。ミトコンドリア脳筋症(MELAS)に伴う肥大型心筋症によりユビデカレノン内服中。自覚症状は認めないが心エコー上左室後壁 9.9mm、心室中隔壁 9.6mmと肥厚。MRIでは心筋内に遅延造影効果が散見され、T1 mappingでは同部位に加え中隔や後下壁外側にもT1値上昇を認めた。ECVの上昇は軽度であった。【症例3】19歳男性。LEOPARD症候群に伴う重度の閉塞性肥大型心筋症のためビソプロロール内服中。MRIでは左室筋層内に遅延造影効果が散見され、T1 mappingではさらに瀰漫性のT1値上昇が認められた。ECV上昇は認めなかった。【症例4】21歳男性。ファブリー病のため酵素補充療法中。自覚症状は認めず。MRI上遅延造影は認めないがnative T1は心室中隔に低下、ECVは側壁を除いて低値を示しており、脂肪沈着の可能性が考えられた。【まとめ】心臓造影MRI施行時T1 mappingを併用することで、遅延造影のみでは評価できない心筋性状を評価できる可能性がある。