[I-OR02-01] Fontan術後患者の日常活動量と肝組織の硬化との関連
Keywords:Fontan術後, 活動量, 肝硬化
【背景、目的】Fontan患者にとって適度な活動は運動耐容能等の点で必要だが、一方でその特異な循環動態により身体活動に伴いCVPが容易に上昇しやすく、肝硬化を含む長期予後に大きな影響を及ぼしている可能性がある。我々はFontan患者の日常活動量と肝硬化の関連について調べた。【方法】Fontan患者16人(7.0~15.1歳、平均10.2歳)を対象に、GE社のMagnetic resonance elastography (MRE)を用いて肝組織の硬さを測定した。また同時期に高精度行動量測定計を2週間装着して4段階の活動強度(静<1.5 METs, 1.5≦軽度<3 METs, 3≦中等度<6 METs, 6 METs≦激)ごとの活動カロリー消費量(activity energy expenditure:AEE)と活動時間を測定した。【結果】4段階の活動強度のうち軽度レベルのAEE(kcal/kg/day)と肝弾性率(kPa)は負の相関を示した(p<0.01)。年齢、肝弾性率と負の相関を示す循環動態のパラメーターであるVenous capacitance (VC)、AEEを加えた多変量解析においても、軽度レベルの活動時間(min)は肝弾性率が負の相関(p<0.05)を示したのに対して激レベルの活動時間は正の相関(p<0.05)を示した。また、同時期に測定した肝線維化の指標である血中ヒアルロン酸値は、軽度レベルの活動時間と負の相関、激レベルの活動時間と正の相関(ともにp<0.05)を示し、血液データの観点からも活動強度と肝硬化は関連を示唆した。【結論】Fontan術後患者の日常のライフスタイルと肝組織の硬化は密接に関連している可能性がある。ジョギング等の激しい活動を避け、ゆっくりした歩行やストレッチ程度の軽度の活動を中心に生活することは肝臓の長期予後を改善するかもしれない。