[I-OR02-03] Fontan術後患者におけるMRエラストグラフィーを用いた肝組織の硬化評価と硬化をもたらす要因の検討
Keywords:Fontan, MRE, VC
【背景、目的】Fontan術後の遠隔期にみられる肝硬変などの合併症はFontan術後の特有の血行動態に起因するとされるが、原因、発症機序は明らかではない。我々はMagnetic resonance elastography (MRE)を用いてFontan術後の肝硬化評価を行い、硬化の要因について検討した。【方法】Fontan術後患者19人(7.0~42.8歳、術後平均9.3年)を対象に、GE社のMREを用いて肝組織の硬さを測定し、心臓カテーテル検査による循環動態を表すパラメーター値と比較した。【結果】MREによる肝弾性率は同時期に測定した線維化の指標である4型コラーゲン・7S値、P3P値と有意な正の相関を示し(共にp<0.05)、Fontan術後の肝線維化による肝硬化をMREは捉えている側面を示唆した。循環動態において、肝弾性率はCVPと相関せず、Systemic vascular resistance (Rs)と有意な正の相関(p<0.05)、Venous capacitance (VC)と有意な負の相関(p<0.05)を示した。Fontan術後の形態としてFenestrationの有る群は無い群と比較して有意に肝弾性率が低く、肝硬化の予後が良かった(4.9 v.s.6.4 kPa, p<0.05)。両者の循環動態パラメーターを比較したところ、CVPに差はなく、Fenestrationの有る群のVCは無い群よりも有意に高値を示した(3.3 v.s.2.3 ml/kg・mmHg, p<0.05)。以上よりVCがFontan術後の肝硬化に強く関与している可能性が示唆された。【結論】Fontan術後患者の肝硬化の評価にMREは有用かもしれない。また、積極的動静脈拡張療法(Super-Fontan Strategy)は、遠隔期の肝合併症の改善につながる可能性がある。