第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療

一般口演03(I-OR03)
外科治療 1

2018年7月5日(木) 15:50 〜 16:50 第3会場 (302)

座長:中野 俊秀(福岡市立こども病院 心臓血管外科)
座長:山岸 正明(京都府立医科大学 小児心臓血管外科)

[I-OR03-03] 機能的単心室、狭窄性総肺静脈還流異常を伴う右側相同心新生児に対する還流静脈ステント留置術はその転帰を改善する

北野 正尚1, 帆足 孝也2, 藤本 一途1, 三宅 章1, 黒嵜 健一1, 市川 肇2, 白石 公1 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器科, 2.国立循環器病研究センター 小児心臓血管外科)

キーワード:Stent implantation, Right atrial isomerism, Total anomalous pulmonary venous connection

【背景】機能的単心室(f-SV)、狭窄性総肺静脈還流異常(oTAPVC)を伴う右側相同心(RAI)におけるTAPVC修復術(TAPVCR)の転帰は、特に新生児に施行されると不良である。【目的】同疾患新生児に対するより低侵襲な還流静脈ステント留置術(DVS)がその転帰を改善するか検討する。【方法】1990年から2017年に当院で介入治療をされた同疾患新生児連続20症例(中央値 在胎38週、出生体重2.8kg、女児7)をTAPVCR群(11例、中央値 治療2001年、肺血流調節手術(PFA)同時施行)とDVS群(9例、同2015年、肺血管抵抗(RP)低下後にPFA施行)の2群に分類し、治療後の経過と転帰に関して比較検討した。平均観察期間759日。p<0.05有意。【結果】19例が共通房室弁と両大血管右室起始の組み合わせで、2群に併存心疾患などの背景に差はなし。治療時期の有意差はあるが、生存曲線に有意差が認められ、DVS群の1年後生存率(77%)はTAPVCR群(27%)よりも改善した。死亡例の主な原因は術後肺静脈狭窄(PVS)ではなく、血管透過性亢進・肺高血圧クリーゼ・高肺血流・房室弁逆流・心室機能低下であった。TAPVCR群は3例両方向性Glenn(BDG)へ、その後1例がFontanへ到達し、1例のみが生存した。DVS群はステント再拡大や追加留置を施行後中央値8か月で4例がBDG&TAPVCR、3例がTAPVCRへ、その3例中2例がBDGへ、最終的に3例がFontanへ到達し、6例が生存している。PVSは遠隔期の転帰に影響していると思われた。【結論】f-SV, oTAPVC, RAI新生児に対するDVSは低侵襲であり、Rp低下後にPFAを施行できるためにTAPVCRよりも救命率を改善する。BDG後にFontanへ進む患者を選択することで、より生存率を上昇できると思われる。