[I-OR05-04] 小児劇症型心筋炎における積極的ECMO介入の治療成績と合併症低減の工夫
キーワード:劇症型心筋炎, ECMO, 脳合併症
【背景】当院では循環動態の悪化が見込まれる劇症型心筋炎に対して積極的にECMO介入をしてきた。今回、積極的ECMO介入における治療成績を、後方視的に検討を行ったので報告する。
【対象】劇症型心筋炎に対してECMO治療を行った17例(男児 9例、女児 8例)。月齢は中央値で72ヶ月(日齢10~13歳), 体重は中央値で16kg(2.4~48kg).
【結果】導入理由はポンプ不全16例、致死的不整脈12例(重複あり)。ECMOのカニュレーション部位は、正中開胸によるcentral ECMO 3例、頸部 6例、鼠径部 7例。17例中、14例がECMO離脱可能であり、離脱症例は全例独歩退院することができた。退院症例でのECMO使用期間は中央値で9.5日(4~17日), 在院日数は中央値で53.5日(24~154日)であった。ECMO離脱後も完全房室ブロックが遷延した1例に永久ペースメーカー植込術を行った。死亡症例は3例で、うち1例は血液腫瘍疾患による抗がん剤治療のため重度免疫抑制となっていた症例、2例は心筋の回復が得られなかった症例で、心筋の石灰化が共通して見られた特異的な所見であった。脳神経合併症は5例で認めた。硬膜外血腫1例、脳梗塞2例、虚血性脳損傷1例、末梢運動神経障害1例を認めた。従来ECMO離脱時にカニュレーション部位の血管を単純結紮としていたが、脳神経合併症低減の取り組みとして、使用血管を愛護的に遮断し、カニューレ抜去後に血栓除去を行い、可能な限り再建を行うようにした。この取り組みによって、脳神経合併症は80%(5例中4例)から8.3%(12例中1例)のみと改善を認めた。
【考察】心筋炎に対する積極的ECMO介入の成績は概ね良好なものであった。安全の向上にむけた取り組みによって、脳神経合併症を減らすことも確認することが出来た。待機中に急激に臨床症状が変化する心筋炎において、積極的ECMO介入は比較的安全に選択することができる治療方法の一つと考える。
【対象】劇症型心筋炎に対してECMO治療を行った17例(男児 9例、女児 8例)。月齢は中央値で72ヶ月(日齢10~13歳), 体重は中央値で16kg(2.4~48kg).
【結果】導入理由はポンプ不全16例、致死的不整脈12例(重複あり)。ECMOのカニュレーション部位は、正中開胸によるcentral ECMO 3例、頸部 6例、鼠径部 7例。17例中、14例がECMO離脱可能であり、離脱症例は全例独歩退院することができた。退院症例でのECMO使用期間は中央値で9.5日(4~17日), 在院日数は中央値で53.5日(24~154日)であった。ECMO離脱後も完全房室ブロックが遷延した1例に永久ペースメーカー植込術を行った。死亡症例は3例で、うち1例は血液腫瘍疾患による抗がん剤治療のため重度免疫抑制となっていた症例、2例は心筋の回復が得られなかった症例で、心筋の石灰化が共通して見られた特異的な所見であった。脳神経合併症は5例で認めた。硬膜外血腫1例、脳梗塞2例、虚血性脳損傷1例、末梢運動神経障害1例を認めた。従来ECMO離脱時にカニュレーション部位の血管を単純結紮としていたが、脳神経合併症低減の取り組みとして、使用血管を愛護的に遮断し、カニューレ抜去後に血栓除去を行い、可能な限り再建を行うようにした。この取り組みによって、脳神経合併症は80%(5例中4例)から8.3%(12例中1例)のみと改善を認めた。
【考察】心筋炎に対する積極的ECMO介入の成績は概ね良好なものであった。安全の向上にむけた取り組みによって、脳神経合併症を減らすことも確認することが出来た。待機中に急激に臨床症状が変化する心筋炎において、積極的ECMO介入は比較的安全に選択することができる治療方法の一つと考える。