[I-OR05-05] Caridiogenic shockに対するmechanical supportのストラテジーと諸問題への対応 -How to bridge to LVAD efficiently-
Keywords:VAD, ECMO, 工夫
【背景】劇症型心筋炎のようなcardiogenic shockに対して,我々は頸部からのperipheral V-A ECMOをfirst choiceとし,1週間以上のsupportが必要な場合は遠心ポンプLVAD systemへ移行する.この際,(1)左心系ドレナージが不十分で肺うっ血が持続したり,(2)大動脈弁が開かないために左室内血栓が形成されるといった等の問題がある.当院のこれら諸問題への対応法と症例提示をする.【方法】(1)十分な径の送脱血管がカニュレーションされ,流量が十分とれている場合は,大動脈弁の開放があれば,径カテーテル的にBASを行う.左房圧の低下が不十分な場合ステントを留置する.十分な径がカニュレーションできなかった場合は,正中開胸し,大動脈弁の開放があれば左房に,なければ左室にカニュレーションし,先の頸部からの右心系脱血とY-connectする.上行大動脈にカニュレーションしcentral V-A ECMOとする.この際皮膚を通してカニュレーションし胸骨を閉鎖する.右心機能が回復し,自己肺の状態が良ければ頸部からの右心系脱血を抜去し,LVADに移行する.(2)正中開胸下に左室にカニュレーションし,頸部からの右心系脱血とY-connectし血栓を人工肺でフィルターする.同様に再開胸なくLVADに移行する.【症例1】1歳女児.原因不明のcardiogenic shockでperipheral ECMO開始するも,肺うっ血を認め,流量も十分ではなかった. 大動脈弁の開放はあるため,左房脱血を追加,上行大動脈送血へ変更.9日目に右心補助終了しLVADへ移行.【症例2】5歳男児.劇症型心筋炎.peripheral ECMOで十分な流量を得るも,肺うっ血を認め心房中隔ステントを留置.2日目に左室内モヤモヤエコーと血栓が疑われ,左室脱血をECMO回路に追加.4日目に右心補助を終了し,7日目にLVADへ移行.9日目にLVAD離脱.【結語】肺うっ血,左室血栓への対応をしつつ,最小限の開胸操作でperipheral V-A ECMOからLVADへの移行を行うことができた.