[I-OR08-01] 免疫グロブリン・プレドニゾロン初期併用療法における冠動脈病変リスク因子
キーワード:川崎病, 急性期治療, ステロイド
【目的】ランダム化比較試験であるRAISE Studyによって,免疫グロブリン(IVIG)不応予測例に対するプレドニゾロン(PSL)初期併用の有効性が示された.しかし,IVIG+PSL併用療法を行っても冠動脈病変(CAL)が生じる症例が存在する.IVIG+PSLに対するCALのリスク因子を検討した.【方法】川崎病多施設共同前向きコホート研究(Post RAISE)において,小林スコア5点以上でIVIG+PSLを行った症例を対象とし,治療1か月時点でCAL形成に至ったか否かを目的変数としリスク因子を検討した.【結果】3年間で小林スコア5点以上のIVIG不応予測例724例がIVIG+PSL併用で加療された.不応例132例(18% ; 95%信頼区間 16–21%),CAL 26例(冠動脈内径の実測値の基準4% ; 3.5–4.2%),40例(Zスコア2.5以上6%; 5.5–6.3%)の結果だった.多変量ロジスティック回帰分析では,初期治療不応例(オッズ比7.1, 95%信頼区間 3.4–14.9),治療前冠動脈Zスコア2.5以上の拡大(3.4, 1.4–7.8),1歳未満(3.0, 1.4–6.5)の3項目がCALの独立したリスク因子であった.冠動脈Zスコアの推移をみると,不応例は反応例に比べ経時的に拡大しCAL形成に至っているのに対し,治療前拡大群は経時的に縮小していたが正常範囲まで退縮せずCALが残存していた. 【考察】初期治療不応例,治療前冠動脈拡大,1歳未満はIVIG+PSL併用療法におけるCAL合併の予測因子になり得る.治療前の冠動脈拡大例に対してPSL併用は縮小効果があり,早期に使用するべきと思われた.一方,冠動脈が拡大傾向を示すIVIG+PSL不応例には,早期の治療強化を要すると考えられた.