[I-OR08-03] ステロイド併用療法により高血圧を呈した川崎病患者に対する検討
キーワード:川崎病, ステロイド, 高血圧症
【背景】2012年にRAISE studyの結果が発表され、重症川崎病患者に対するIVIG+PSL初期併用療法により、冠動脈病変の発症を減少させることが可能となり、標準的治療として全国的に使用されるようになった。また、RAISE study、Post RAISEで報告された有害事象は少数であり、高血圧は1例のみであった。【目的】2014年より当院でも重症川崎病患者に対してIVIG+PSL初期併用療法を開始したが、ステロイドとの関連が疑われる夜間早朝の高血圧を呈する症例が散見され、注意深い観察と治療介入が必要と考えられたため報告する。【方法】2016年1月から2017年12月までに、当院で治療を行った川崎病例において、高血圧として治療介入が必要であった症例について、診療録に基づき後方視的に検討する。血圧は原則として日中3回、夜間3回測定し、高血圧の基準は高血圧症ガイドラインを参考にした。【結果】対象は125例(男児 69例、女児56例)、年齢は中央値2歳1ヶ月(2ヶ月~8歳)であった。ステロイド併用療法を行った例は48例で、そのうち33例は群馬スコア陽性であったためIVIG+PSL初期併用療法を行い、15例はIVIG不応例であったため2nd lineとしてPSL併用療法を行った。高血圧を呈したのは41例(32.8%)で、そのうち高血圧が持続した6例(4.8%)に降圧剤を使用した。また、PSL、CyA併用例では、高血圧性脳症の予防目的に降圧剤を併用した。【まとめ】ステロイド高血圧症は短期間の投与であっても起こる可能性はあり、当院では持続した高血圧に対し、Ca拮抗薬、ACE阻害薬などの降圧剤を使用し、高血圧性脳症などの重篤な疾患を生じることなく治療をすることができた。これまでステロイドの副作用として、高血圧の報告は少数であったが、我々の検討によるとステロイド併用例の32.8%に高血圧が認められた。ステロイドによる高血圧は夜間早朝にみられることが多く、その時間帯の血圧測定が重要であり、早期に治療介入が可能と考えられた。