第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演08(I-OR08)
川崎病・冠動脈・血管 1

2018年7月5日(木) 14:00 〜 15:00 第4会場 (303)

座長:小林 徹(国立成育医療研究センター 臨床研究センター 企画運営部)
座長:布施 茂登(NTT東日本札幌病院 小児科)

[I-OR08-05] 冠動脈瘤をともなう川崎病患者のレジストリ研究(KIDCAR)体制の構築

三浦 大1, 小林 徹2, 沼野 藤人3, 菅沼 栄介4, 古野 憲司5, 三澤 正弘6, 土井 庄三郎7, 塩野 淳子8, 加藤 太一9, 深澤 隆治10 (1.東京都立小児総合医療センター 循環器科, 2.国立成育医療研究センター 臨床研究開発センター, 3.新潟大学大学院医歯学総合研究科 小児科, 4.埼玉県立小児医療センター 感染免疫・アレルギー科, 5.福岡市立こども病院 総合診療科, 6.東京都立墨東病院 小児科, 7.東京医科歯科大学医学部 小児科, 8.茨城県立こども病院 小児循環器科, 9.名古屋大学大学院医学系研究科 成長発達医学, 10.日本医科大学 小児科)

キーワード:川崎病, 冠動脈瘤, レジストリ

【背景・目的】われわれは冠動脈瘤(CAA)をともなう川崎病(KD)の症例に対する後向き研究で,冠動脈イベント(CE)がZスコアによる巨大瘤のほか,男と免疫グロブリン療法(IVIG)不応例に関連することを報告した.この検証やCEの適切な管理の開発のため,多施設共同レジストリ研究を開始した.【方法】2015年以降に発症し,30病日以降の心エコーで内径4 mm以上かZスコア5以上のCAAを合併したKD症例を対象として,2017年にレジストリを開始した.臨床情報をEDCシステムにより年1回収集する予定である(目標症例数は5年間で計600例).主要評価項目はCEの経年的発生率で,リスク因子との関連を解析する.今回は現状の成績を報告する.【成績】47施設の62例が登録され,データが得られた55例を解析した.月齢は中央値28(3~170,12未満14例)で,男が45例(81%),不全型が28例(51%)を占めた.右冠動脈は中等瘤31例,巨大瘤(内径8 mm以上かZスコア10以上)5例,左冠動脈瘤は中等瘤36例,巨大瘤4例で,6例(11%)はいずれかに巨大瘤があった.初回IVIGは53例(初期ステロイド併用21例)に行われ,27例は4病日以内に,26例は5病日以降(うち8例は8病日以降)に開始されていた.追加治療として,2ndラインの治療を42例(76%),3rdライン以降を28例(51%)に行った.慢性期治療は,アスピリン50例,ジピリダモール4例,パナルジン9例,クロピドグレル6例,ワルファリン26例,アンジオテンシン受容体拮抗薬9例などに行われていた.CEは4例(7%;男3例;IVIG未使用1例,IVIG使用3例は全例不応例)に認め,巨大瘤が3例(心筋梗塞1例,不安定狭心症1例,血栓1例),中等瘤が1例(血栓1例)で,全例ワルファリンを服用していた.【結語】治療法が進歩した現代でも,CAAをともなうKDではCEの発生に注意が必要である.本レジストリ研究体制は,CAAをともなうKD症例の管理に関する質の高い臨床研究の基盤になると期待される.