[I-OR08-05] 冠動脈瘤をともなう川崎病患者のレジストリ研究(KIDCAR)体制の構築
キーワード:川崎病, 冠動脈瘤, レジストリ
【背景・目的】われわれは冠動脈瘤(CAA)をともなう川崎病(KD)の症例に対する後向き研究で,冠動脈イベント(CE)がZスコアによる巨大瘤のほか,男と免疫グロブリン療法(IVIG)不応例に関連することを報告した.この検証やCEの適切な管理の開発のため,多施設共同レジストリ研究を開始した.【方法】2015年以降に発症し,30病日以降の心エコーで内径4 mm以上かZスコア5以上のCAAを合併したKD症例を対象として,2017年にレジストリを開始した.臨床情報をEDCシステムにより年1回収集する予定である(目標症例数は5年間で計600例).主要評価項目はCEの経年的発生率で,リスク因子との関連を解析する.今回は現状の成績を報告する.【成績】47施設の62例が登録され,データが得られた55例を解析した.月齢は中央値28(3~170,12未満14例)で,男が45例(81%),不全型が28例(51%)を占めた.右冠動脈は中等瘤31例,巨大瘤(内径8 mm以上かZスコア10以上)5例,左冠動脈瘤は中等瘤36例,巨大瘤4例で,6例(11%)はいずれかに巨大瘤があった.初回IVIGは53例(初期ステロイド併用21例)に行われ,27例は4病日以内に,26例は5病日以降(うち8例は8病日以降)に開始されていた.追加治療として,2ndラインの治療を42例(76%),3rdライン以降を28例(51%)に行った.慢性期治療は,アスピリン50例,ジピリダモール4例,パナルジン9例,クロピドグレル6例,ワルファリン26例,アンジオテンシン受容体拮抗薬9例などに行われていた.CEは4例(7%;男3例;IVIG未使用1例,IVIG使用3例は全例不応例)に認め,巨大瘤が3例(心筋梗塞1例,不安定狭心症1例,血栓1例),中等瘤が1例(血栓1例)で,全例ワルファリンを服用していた.【結語】治療法が進歩した現代でも,CAAをともなうKDではCEの発生に注意が必要である.本レジストリ研究体制は,CAAをともなうKD症例の管理に関する質の高い臨床研究の基盤になると期待される.