[I-OR10-01] 小児期発症拘束型心筋症における左心補助装置装着の右室機能に及ぼす影響
キーワード:拘束型心筋症, 左心補助装置, 右室機能
【はじめに】小児期発症の拘束型心筋症(RCM)は、左室または両心室の拡張障害を特徴とする進行性心不全のため非常に予後不良な心筋症であり、特に右心不全に関しては左心補助装置(LVAD)を使用しても治療管理に難渋する。【目的】RCM患者のLVAD装着前後の右室機能を、拡張型心筋症(DCM)患者と比較検討する。【対象】2014年から2017年に心臓移植登録後にLVAD装着を要したRCM3例(R群)、DCM7例(D群)。導入LVADはBerlin Heart EXCOR;9例、Jarvik2000;1例。LVAD装着前後で心臓カテーテル検査、心エコー、血液検査所見を比較検討。【結果】LVAD導入時年齢は1.3±4.7歳。LVAD導入前(導入後)カテデータ、SVC(mmHg); R12±6(16±3), D5±2 (7±5). RVEDP(mmHg); R17±6 (18±1), D 7±2(8±4). mPAP(mmHg); R37±15 (20±5), D21±6 (16±3). PCWP(mmHg); R 27±13(12±5), D14±6(6±3). CI(L/min/m2); R2.5±0.6 (3.7±0.6), D3.1±0.9 (3.7±0.5). PVRI(Wood unit・m2); R 6.3±3.8 (2.2±0.6), D2.6±1.7 (2.3±0.9)。R群で右心系圧は導入前で優位に高く、導入後左室拡張不全、肺高血圧、CIはR群で改善するが(p<0.05)、R群のSVC圧は上昇し右室拡張不全は改善されなかった。導入後心エコーでのRVE/e’はR 28.7±7.3, D群11.2±4.9とR群で高値であった (p<0.01)。BNPは R群で改善を認めず、肝機能は各群導入前後で優位差はなかった。【考察】RCM対するLVADの効果は、左室拡張障害には有効であったが、右室拡張不全に対する改善効果は認めなかった。