[I-OR11-04] Fontan術後遠隔期に生じる心房筋の間質線維化
キーワード:Fontan術, 心房線維化, リモデリング
【目的】classical Fontan術後に進行する心房拡大は、心房不整脈や循環動態の悪化に関与するが術後遠隔期の心房間質線維性変化に関する報告は未だ少ない。本研究の目的は、Fontan術後遠隔期の心房間質線維化について評価する事である。【方法】 TCPC変換術を施行例20例の術中に採取した心房自由壁切片を光顕で観察し、心房間質線維化の程度を評価し、心房頻拍(AT)との関連、フォンタン術後期間との関連について検討した。【結果】 対象のFontan術時年齢は6±3歳、標本採取時年齢は27±7歳、Fontan術後期間は21±6年であった。全例で間質線維化を認め、線維化程度は軽度15%、中等度以上85%であった。ATの既往がある群(AT群、N=15)は、ATなし群(N=5)に比し線維化の占める割合 (線維化率)が高い傾向を認めた(26±6 vs 20±7%)。また、Fontan術後期間20年未満の13例中3例(23%)に心房線維化が軽度の症例を認めたが、Fontan術後20年以上の症例(7例)では線維化が軽度の症例はなく全例で中等度以上の線維化を認めた。初回フォンタン術年齢、術前心臓カテーテルでの中心静脈圧や心房容積、心胸郭比、術前BNP値と線維化率には有意な相関は認められなかった。【結論】 Fontan循環遠隔期の心房は、術後経年的に間質線維化が進行し、心房頻拍症例では線維化がより強い傾向がある。長期のFontan循環にさらされた心房では線維化を含めたリモデリングが進行しており、心房性不整脈への関与も示唆される