[I-OR12-02] 成人ASD device closure後の左室拡張能の経時的変化
Keywords:ASD device closure, 拡張機能, 成人先天性心疾患
【はじめに】成人ASDに対するdevice closure後は、急激な容量負荷により左室拡張機能に影響を与えることが知られている。しかし、施行後の左室拡張機能の変化や回復については明らかになっていない。【目的】成人ASDの device closureにおける左室拡張能の加齢の影響について年代別に検討すること【対象・方法】2007年から2017年までの間に当院でASD device closureを施行した15歳以上の症例のうち、Qp/Qs>1.5の28例 (15-77歳、年齢の中央値は39歳、男11例)。A群(15-39歳)14例、B群(40-59歳)9例、C群(60-77歳)5例に分け、ASD device closure施行前、1ヶ月後、6ヶ月後、1年後に心臓超音波検査を施行。E/A、e’、E/e’の変化について比較検討した。またそれぞれの値について年代別正常値からZ scoreを求め、年代別に比較検討した。検定にはrepeated measures of ANOVAを用いた。【結果】治療前のE波、E/A、e’はA>B>Cで大であった(E: 0.92>0.72>0.59、E/A: 2.4>1.7>0.9、e’: 17.2>12.2>8.5、p<0.05)。E波はどの群でも治療前に比べて1ヶ月後、6ヶ月後、1年後と有意に上昇した(p<0.05)。E/e’はA群では経過中ほぼ変化なく、B群、C群では治療後に有意に上昇した(p<0.05)。z scoreで見ると、E波はA群、B群では 0から1の間で経過し、C群では治療前-1から治療1年後には1まで上昇した。E/Aはどの群でも経過中ほぼ変化なく、z score 0から1の範囲で経過した。E/e’はA群ではz score 0から1の範囲でほぼ変化なく推移した。B群、C群ではz score 0から1ヶ月後には2まで上昇し、1年後まで上昇が維持された (p<0.05)。【結語】成人ASDのdevice closureにおける左室拡張能への影響は、若年者では小さく、中高年以上では拡張機能低下が留置後も遷延する傾向にある。