[I-OR12-04] 当院におけるTCPC conversionの中期成績
Keywords:フォンタン, TCPC, TCPC conversion
背景・目的
APC法によるFontan型手術は遠隔期における右房拡大や血栓形成,上室性不整脈,低拍出性心不全などの問題が明らかになっている.これらAPC法の遠隔期問題点を回避するためにTCPC conversionが行われているが,その予後や効果は明確にされていない.当科のTCPC conversion症例の中期成績を後方視的に検討する.方法
2004年から2017年の期間に当院で経験したTCPC conversion31例について,手術成績および合併症,遠隔期死亡およびイベントについて検討した.平均追跡期間は6.1年であった.主診断は三尖弁閉鎖症が19例と最も多く,続いて単心室症7例であった.性別は男性13,女性18例であった.転換手術時の平均年齢21才で,初回Fontan手術からのインターバルは平均15.2年であった.転換手術時に28例(90%)で不整脈手術を併施し,4例で房室弁に対する手術を併施した.ペースメーカー植え込みは2例で併施した.
結果
周術期死亡は0例,手術合併症は頻脈性不整脈5例(上室性4,心室性1),徐脈性不整脈4例,開胸止血術1例であった.最も重篤な合併症は術後上室性頻脈に対する薬物治療中に心停止が発生した症例で,PCPS導入後そのまま外科的房室ブロック作成し救命した.遠隔期死亡は1例で術後2年目に蛋白漏出性胃腸症で失った.再入院は11例で認め,原因は不整脈7例(頻脈2,徐脈4,ペースメーカー不全1),心不全1例,縦隔炎1例などであった.遠隔期ペースメーカー植え込みは4例で認めた.CVP(平均値)は術前13.8,術後1年14.5(P=0.28),術後3年13.4(P=0.37),術後5年12.0(P=0.14)と統計学的有意な改善は認めなかった.
考察・結論
TCPC conversionの手術・中期成績は良好であった.不整脈が周術期および遠隔期の合併症として最も高頻度で徐脈性・頻脈性ともに治療に難渋する症例が存在した.当院では初期の症例で不整脈治療に難渋したことより,不整脈が発生する前に転換手術を推進する方針へと変更し,改善を得ている.
APC法によるFontan型手術は遠隔期における右房拡大や血栓形成,上室性不整脈,低拍出性心不全などの問題が明らかになっている.これらAPC法の遠隔期問題点を回避するためにTCPC conversionが行われているが,その予後や効果は明確にされていない.当科のTCPC conversion症例の中期成績を後方視的に検討する.方法
2004年から2017年の期間に当院で経験したTCPC conversion31例について,手術成績および合併症,遠隔期死亡およびイベントについて検討した.平均追跡期間は6.1年であった.主診断は三尖弁閉鎖症が19例と最も多く,続いて単心室症7例であった.性別は男性13,女性18例であった.転換手術時の平均年齢21才で,初回Fontan手術からのインターバルは平均15.2年であった.転換手術時に28例(90%)で不整脈手術を併施し,4例で房室弁に対する手術を併施した.ペースメーカー植え込みは2例で併施した.
結果
周術期死亡は0例,手術合併症は頻脈性不整脈5例(上室性4,心室性1),徐脈性不整脈4例,開胸止血術1例であった.最も重篤な合併症は術後上室性頻脈に対する薬物治療中に心停止が発生した症例で,PCPS導入後そのまま外科的房室ブロック作成し救命した.遠隔期死亡は1例で術後2年目に蛋白漏出性胃腸症で失った.再入院は11例で認め,原因は不整脈7例(頻脈2,徐脈4,ペースメーカー不全1),心不全1例,縦隔炎1例などであった.遠隔期ペースメーカー植え込みは4例で認めた.CVP(平均値)は術前13.8,術後1年14.5(P=0.28),術後3年13.4(P=0.37),術後5年12.0(P=0.14)と統計学的有意な改善は認めなかった.
考察・結論
TCPC conversionの手術・中期成績は良好であった.不整脈が周術期および遠隔期の合併症として最も高頻度で徐脈性・頻脈性ともに治療に難渋する症例が存在した.当院では初期の症例で不整脈治療に難渋したことより,不整脈が発生する前に転換手術を推進する方針へと変更し,改善を得ている.