第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

周産期・心疾患合併妊婦

一般口演13(I-OR13)
周産期・心疾患合併妊婦

2018年7月5日(木) 10:40 〜 11:40 第5会場 (304)

座長:城戸 佐知子(兵庫県立こども病院 循環器内科)
座長:椎名 由美(聖路加国際病院 心血管センター)

[I-OR13-03] 先天性心疾患を有するSmall-for-Gestational Age児の予後に関する検討

高橋 宜宏1, 塩川 直宏1, 中江 広治1, 永留 祐佳1, 森田 康子1, 櫨木 大祐1, 上野 健太郎1, 河野 嘉文1, 新谷 光央2 (1.鹿児島大学病院 小児科, 2.鹿児島大学病院 産婦人科)

キーワード:NICU, Small-for-Gestational Age, SGA

【背景】Small-for-Gestational Age(SGA)児は、Appropriate-for-Gestational Age(AGA)児に比べ、糖代謝異常や壊死性腸炎などの合併頻度が高く、生命予後も不良とされる。先天性心疾患(CHD)を有する児はSGAの合併が多いことが知られているが、背景や予後については、いまだ十分に検討されていない。【方法】2012年1月から2016年12月まで当院NICUに入院したCHD 140例(SGA 42例、AGA 98例)を対象に後方視的に検討した。出生体重10% tile以下または-2SD以下をSGAと定義した。SGA群、AGA群の2群に分類し、「先天異常(遺伝子・染色体異常、奇形症候群)の合併」、「胎児診断の有無」、「予後(新生児死亡、乳児期死亡)」について評価した。【結果】SGA群、AGA群で在胎週数、胎児診断率に有意差はなかった。SGA群はAGA群と比較し出生体重が小さく(p<0.001)、先天異常の合併頻度が高かった(SGA群 16/42 vs. AGA群 16/98、p=0.005)。SGA群はAGA群と比べ、有意に乳児期死亡が多かった(新生児期死亡:SGA群 4/42 vs. AGA群 2/97、p=0.068、乳児期死亡:SGA群 8/32 vs. AGA群 8/74、p=0.039)。乳児期死亡例の背景として、先天異常の合併がSGA群 4例、AGA群 3例だった。また、CHD術後入院期間中の死亡がSGA群 3例、AGA群 7例だった。先天異常を理由に緩和医療のみに治療を制限した症例はいなかった。出生体重および先天異常の影響についても検討し、先天異常の有する例で有意に生命予後が不良だった(p=0.048)。出生体重と生命予後に相関は認めなかった。多変量解析では、SGAが独立した乳児期死亡のリスク因子だった(OR 0.329、95%CI 0.011-0.958、p=0.044)。【結語】CHDを有するSGA児は、先天異常の合併が多く、生命予後が不良だった。先天異常の鑑別を十分に行うとともに、手術の要否に関わらず全身管理を慎重に行うべきである。