第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

周産期・心疾患合併妊婦

一般口演13(I-OR13)
周産期・心疾患合併妊婦

2018年7月5日(木) 10:40 〜 11:40 第5会場 (304)

座長:城戸 佐知子(兵庫県立こども病院 循環器内科)
座長:椎名 由美(聖路加国際病院 心血管センター)

[I-OR13-04] 成人先天性心疾患女性患者の卵巣機能に関する検討

大澤 麻登里1, 大内 秀雄1, 根岸 潤1, 吉松 淳2, 白石 公1, 黒嵜 健一1 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器科, 2.国立循環器病研究センター 周産期・婦人科部)

キーワード:ACHD, 妊娠・出産, 卵巣機能

【背景】成人先天性心疾患(ACHD)女性患者の妊娠・出産管理については様々な報告がなされ、母体・胎児へのリスクについて言及されている。しかし、卵巣機能についての研究・症例報告はない。近年、卵巣機能の指標としてAMH(Anti-Mullerian hormone: 抗ミュラー管ホルモン)の測定が用いられている。AMHは前胞状卵胞の顆粒膜細胞から主に分泌され、その値が残存する原始卵胞に相関すると考えられている。AMH値の年齢分布は、20代半ばをピークに加齢と共に低下する。AMH値は月経周期による変動がなく、他の性ホルモンのように採血のタイミングを考慮する必要がない点で簡便な指標である。今回我々は、ACHD女性患者のAMH値を調べ、健常女性の年齢分布との比較・検討を行うこととした。【方法】当院に定期検査入院中で状態が安定している18歳以上のACHD女性患者30例(二心室修復術 14例:BVR群(平均年齢 34.6±11.2歳 BMI 20.9±2.2) Fontan手術群 16例:F群 (平均年齢 27.7±6.0歳 BMI 19.6±3.1)のAMHを測定し、既報告文献が示す健常女性のAMH値の年齢分布と比較した。【結果】年齢分布と平均AMH値は18-31歳:19例(2.02±1.16 25th percentile)、32-34歳:1例(4.18 75th percentile)、35-37歳:3例(1.15±0.99 25th percentile) 38-40歳:2例(1.01±0.57 50th percentile)、41-43歳:2例 (2.03±1.09 75th percentile)、44歳以上:3例(0.86±0.92 75th percentile)であり、18-37歳でのAMH値が全体的に低値であった。20-29歳と30-39歳別にBVR群とF群との平均AMH値を比較したが、BVR群とF群に有意差は認めなかった。(20-29歳:B群3例 1.46±0.78 F群 7例 2.06±0.51 30-39歳:B群 4例 2.17±0.64 F群 7例 1.40±0.48)【結論】ACHD女性患者のAMH値は、生殖適齢期とされる年齢群で低い傾向にあった。現在、健常対象群のAMH測定を行っており、それらとの比較や患者群での血行動態指標とAMH値との関連を検討中である。