The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

周産期・心疾患合併妊婦

一般口演13(I-OR13)
周産期・心疾患合併妊婦

Thu. Jul 5, 2018 10:40 AM - 11:40 AM 第5会場 (304)

座長:城戸 佐知子(兵庫県立こども病院 循環器内科)
座長:椎名 由美(聖路加国際病院 心血管センター)

[I-OR13-05] 成人先天性心疾患センターにおけるハイリスク妊娠に対するアプローチ:妊娠中の抗凝固療法管理はどうあるべきか?

赤木 禎治1, 杜 徳尚1, 高橋 生1, 増山 寿2, 伊藤 浩1 (1.岡山大学 循環器内科, 2.岡山大学 産婦人科)

Keywords:成人先天性心疾患, 妊娠・出産, 抗凝固療法

【目的】成人先天性心疾患(ACHD)における妊娠中,分娩時の抗凝固療法は重要であるが,至適管理は確立していない。海外では低分子ヘパリンを用いた抗凝固管理も推奨されているが,国内では保険承認されていない。新規抗凝固薬(DOAC)の経験も極めて限られている。【方法】当院ACHDセンターでは,妊娠前にACHD担当する産婦人科医を受診し,妊娠・出産のリスク,抗凝固療法のオプションについてカウンセリングを行ってきた。妊娠前にカウンセリングを実施した患者について検討した。【成績】妊娠前にACHD担当する産婦人科医を受診し,カウンセリングを受けた患者は12名(Fontan術後患者9名,人工弁置換術後患者3名)であった。これらのうちFontan患者5名,人工弁置換患者2名は妊娠した。Fontan患者5名中2名は妊娠前からヘパリン皮下注の指導を受け,妊娠後はヘパリン持続投与を行った後,外来で自己注射を行った。Fontan患者5名中2名は妊娠初期に流産したが,残る3名は妊娠を継続し,妊娠13~15週でワルファリン(2名),DOAC(1名)に変更した。3名とも健常児を出産した。人工弁置換術後3名中2名が妊娠し,ヘパリン持続点滴から皮下注,13週以降はワルファリンで管理し出産した。一方,Fontan術後にカウンセリングを受けないまま妊娠を契機に紹介受診した患者では抗凝固療法を自己中止しないように説明した後,ヘパリンの持続点滴で妊娠10週まで入院管理し,その後は低分子ヘパリン皮下注射を継続したが,妊娠13週で流産した。【結論】妊娠・出産を希望する抗凝固療法継続中のACHD患者には,妊娠前にパートナーを含めたカウンセリングを行い,抗凝固療法を継続する必要性,抗凝固療法に伴う危険性を十分理解してもらう必要性がある。このステップを踏むことで妊娠初期の計画的なヘパリン導入がスムーズに実施できる。妊娠中の抗凝療法選択として,DOACの安全性さらに低分子ヘパリンの保険承認に向けて検討が必要である。