[I-OR14-02] 肺高血圧、閉塞性肺障害が先行症状であったFLNA変異の乳児
Keywords:FLNA, 肺高血圧, 呼吸器疾患
【背景】FLNA変異は脳室周囲異所性灰白質(PVNH) の原因遺伝子であり、初発症状は神経症状で発症することがほとんどであり、肺高血圧(PH)、肺障害を合併することは稀である。本症例はPH、肺障害が先行症状のため診断に苦慮し、FLNA変異は閉塞性肺障害によるPHの鑑別疾患として重要であり、報告する。【症例】胎児MRIで結節性硬化症が疑われ、出生後の心エコーにて動脈管開存(PDA), PH と診断した。生後1か月時にPH進行と呻吟を伴う呼吸困難を認めた。心カテにて平均PA 55mmHg, Rp 13.6 units・m2と重度PHであり、上行大動脈の拡大も認めた。CTにて両肺野にスリガラス陰影を認め、間質性肺炎(IP)と診断したが、KL-6の上昇なく、感染症、免疫関連等の精査を行ったが、原因不明であった。呼吸障害が進行し人工呼吸管理となったため、ステロイドパルスを施行した。呼吸障害が改善したが、それに伴ってPHが軽快し、PDA血流の増大による心不全が急速に悪化し、PDA結紮術を施行した。現在4歳となるが、運動時に呼吸障害があるのみで、呼吸障害の進行は認めず、肺高血圧薬にて平均PA 24mmHg, Rp 5.4 units・m2まで改善した。2歳時に肺生検を施行し、びまん性肺胞中隔形成不全(alveolar simplification)を認め、慢性閉塞性肺疾患様の病態であった。胎児期の既往から頭部MRIを施行し、PVNHと診断したが、てんかんの症状は認めていない。PVNH関連遺伝子を検索し、FLNAのフレームシフト変異(c.322_328dup, p.Ala110Valfs*54)を認め、同変異は母親由来で兄は陰性であった。【結語】肺障害によるPHの原因が不明な場合、全身検索を行い、FLNA異常を考慮する必要がある。