第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

学校保健・疫学・心血管危険因子

一般口演15(I-OR15)
学校保健・疫学・心血管危険因子

2018年7月5日(木) 08:40 〜 09:30 第6会場 (411+412)

座長:泉田 直己(曙町クリニック)
座長:立野 滋(千葉県循環器病センター 小児科)

[I-OR15-01] 心房中隔欠損症における心電図所見の術後変化と重症度との関連

高橋 昌志1, 檜垣 高史1, 高田 秀実1, 太田 雅明1, 森谷 友造1, 伊藤 敏恭1, 宮田 豊寿1, 渡部 竜介1, 田代 良1, 打田 俊司2 (1.愛媛大学医学部 小児科, 2.愛媛大学医学部 心臓血管呼吸器外科)

キーワード:ASD, electrocardiogram, postoperative change

【背景】ASDに特徴的な心電図所見として、右軸偏位(RAD)、右脚ブロック(RBBB)、Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導におけるQRSのnotch(crochetage)、孤立性陰性T波が知られている。しかしながら、それらの所見とASDの重症度との関連性や、所見毎に術後の変化について詳細に検討した報告は少ない。【目的】RAD、RBBB、crochetage、孤立性陰性T波とASDの重症度との関連と、それらが術後どのように変化するか検討すること。【対象と方法】2010年1月から2017年12月までの8年間で、当院にてASDに対する経皮的閉鎖術を受けた117例と、手術治療を受けた74例の計191名(男:女=86:105)において、肺体血流比(Qp/Qs)、術前・術後(6ヶ月、1年、2年)における心電図陽性所見の数と、所見毎の経時的な変化について診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】治療時の年齢、Qp/Qs、術前における心電図の陽性所見数は、平均25±25.6歳、2.17±0.88、1.73±1.11個であり、術前の心電図におけるQp/Qsと陽性所見数との間には正の相関を認めた。心電図所見毎に陽性率を検討すると、RAD、RBBB、crochetage、孤立性陰性T波がそれぞれ、術前35.9%、56.3%、66.1%、14.1%であったものが、術後6ヶ月で16.6%、30.1%、43.6%、0%であり、術後2年では10.9%、27.3%、32.2%、0%であった。術後経過とともに全ての所見で改善傾向を認め、孤立性陰性T波は全例で術後速やかに改善したが、RBBBとcrochetageについては術後長期に残存する例も多かった。小児に比べて、成人例では改善率が低かった。【考察】孤立性陰性T波は全例で術後速やかに消失し、疾患特異度が高いと考えられ、学校検診等においても特に見逃してはならない所見であると考えられた。RAD、RBBB、crochetageともに、小児に比べて成人例では改善率が低く、長期に所見が残存する例も多いため、ASDを小児期に治療すべき根拠となると考えられた。