[I-OR15-02] 新しい学校心臓検診ガイドラインにおけるQTc短縮抽出基準の妥当性についての検討
キーワード:学校心臓検診, QT短縮, 学校心臓検診ガイドライン
【はじめに】学校心臓検診ガイドライン2016にQT短縮症候群が記載され、QTc短縮抽出基準が暫定的に定められたが、その妥当性について検討したので報告する。【方法】2017年度の滋賀県大津市学校心臓検診一次心電図検診対象者より無作為に抽出した906人(小学校1年生児201人、4年生児239人、中学校1年生児466人)を対象とし、QTc(Bazett補正)0.33秒未満の暫定抽出基準を満たす頻度と精密検診の結果について検討した。また、心電計自動計測をスクリーニングに用いることが可能かを検討した。【結果】QTc0.33秒未満となったのは小学生11人(2.5%)、中学生5人(1.1%)であった。精密検診の結果は、小学生は全例が管理不要、中学生は3人がE可1年であった。精密検診の結果、明らかにQT短縮症候群が疑われた症例はなかった。心電計自動計測QTcは用手法QTcと緩い相関を認めるものの、ばらつきが大きく、小学生では用手法QTc0.33秒未満を鑑別する自動計測QTc値は決定できなかった。中学生では自動計測QTc0.40秒が該当したが、1割以上が精密検診に抽出される結果となりスクリーニングに用いることは困難であった。【考察】QTc0.33秒未満の暫定抽出基準を厳格に順守するには、現状では全例用手法により計測せざるを得ず、QTc抽出後の精密検査・管理基準等も明確には定まっていない現在のガイドラインでは、一次検診・精密検診の負担が膨大となる割には、その有用性については疑問が残る。特に小学生ではその傾向が顕著で、学校心臓検診におけるQT短縮症候群については再考するべきと考えられた。