[I-OR18-02] 先天性心疾患合併の18トリソミー児における肝芽腫
キーワード:肝芽腫, 心外合併症, 18トリソミー
【背景】我々の施設では、18トリソミー児において、術前検査で心内修復術(ICR)の適応があり予後の改善が見込まれると判断され、家族へ手術のリスク等を十分説明した上で同意が得られた症例に対しては、ICRを行っている。今回、我々は先天性心疾患(CHD)の治療経過中に肝芽腫を合併し、治療を行った症例を複数経験した。【目的】CHD合併の18トリソミー児における肝芽腫の臨床像を明らかにする。【方法】2009年から2017年に当院でICRを施行した18トリソミー児19例を対象とした。【結果】5例(26%)で肝芽腫を合併した。全例女児。4例がVSD+PDA、1例がToF+ASD+PDAであった。ICR施行時の平均月齢は1歳8ヶ月(10ヶ月-3歳8ヶ月)。肝芽腫が発見された時期は、2例でICR前、3例でICR後であった。他施設で肝芽腫が見つかり当院でのICR以前に腫瘍全摘出術を行った1例を除き、4例では当院でリスク分類を行い肝芽腫治療よりICRを先行させた。全摘出術と化学療法を行ったのが3例、化学療法のみ行ったのが1例、全摘出術のみ行ったのが1例であった。血清AFP値(正常値≦7.0ng/mL)は、治療直前で中央値501.7ng/mL(9.4-8559.0ng/mL)、治療後療後で中央値6.4ng/mL(3.4-31.3ng/mL)であった。死亡例はなかった。【考察】高率に肝芽腫を合併していた。化学療法を施行した症例はすべてICR後であった。安全に肝芽腫の治療が行えた。【結語】18トリソミー児において、継続的な腹部エコーや腹部CTによる肝芽腫のスクリーニング検査は重要である。肝芽腫治療に際しては、腫瘍のリスク分類や腫瘍の増大速度、循環動態などを含めた総合的な判断が必要となる。