第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

染色体異常・遺伝子異常

一般口演18(I-OR18)
染色体異常・遺伝子異常

2018年7月5日(木) 14:50 〜 15:40 第6会場 (411+412)

座長:浅田 大(京都府立医科大学 小児科)
座長:野村 裕一(鹿児島市立病院 小児科)

[I-OR18-03] 当院で在宅移行ができた18トリソミーの心合併症への介入の検討

朱 逸清, 三井 さやか, 岸本 泰明, 福見 大地 (名古屋第一赤十字病院 小児科)

キーワード:18トリソミー, 先天性心疾患, 在宅診療

【背景】18トリソミーは生命予後不良な染色体異常で,1年生存率5-10%との報告もある。生命予後に関与する心合併症への外科的介入の是非は各施設様々である。外科的介入が生存退院、在宅診療への移行を促す可能性を示唆する報告がある一方、当院では症例ごとに手術適応を検討している。今回その全体像を検討した。【対象/方法】2009年1月から2017年12月に出生した18トリソミー症例22例(男:女=9:13)で全例心疾患を合併していた。内訳は心室中隔欠損症(以下VSD)17例(自然閉鎖例1例を含む)、両大血管右室起始症(以下DORV)4例、総動脈幹症1例。生存退院率、在宅移行率、疾患、治療介入、死因などについて診療録を基に後方視的に検討した。【結果】フォローアップ中央値は6ヶ月(0-59ヶ月)で、生存退院は16例/22例(男:女=5:11)、在宅診療に移行したのは11例/22例(男:女=3:8)であった。生存退院例はVSD9例/17例、DORV2例/4例、総動脈幹症0例/1例であり、そのうち肺動脈狭窄(PS)合併例5例は全員生存退院した。生存退院16例中5例が転院し11例が在宅移行したが、心疾患への手術未介入例は6例で、介入例は5例(動脈管結紮術2例、肺動脈絞扼術PAB1例、動脈菅結紮術+PAB2例)であった。現在生存中の症例(月齢15ヶ月から59ヶ月)は手術未介入2例/6例と介入3例/5例(動脈管結紮術2例、動脈菅結紮術+PAB1例)で計5症例生存しているが、PAB単独例は生存していない。現在生存5例中3例が気管切開後(全気切例は8例/22例)で、食道閉鎖合併例はなかった。退院後死亡した6例における死亡原因は、心不全が2例、心原性ショックが1例、心室細動が1例と心原性が4例/6例を占めた。【まとめ】本検討では動脈管結紮術のみで一定の生存退院率、在宅移行率が得られている。PABは必ずしも長期予後を改善しない。