第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

染色体異常・遺伝子異常

一般口演18(I-OR18)
染色体異常・遺伝子異常

2018年7月5日(木) 14:50 〜 15:40 第6会場 (411+412)

座長:浅田 大(京都府立医科大学 小児科)
座長:野村 裕一(鹿児島市立病院 小児科)

[I-OR18-04] 第五大動脈弓遺残を伴った22q11.2重複症候群

矢野 悠介1, 野崎 良寛1, 今川 和生1, 石川 伸行1, 加藤 愛章1, 加藤 秀之2, 高橋 実穂1, 堀米 仁志1 (1.筑波大学 医学医療系 小児科, 2.筑波大学 医学医療系 心臓血管外科)

キーワード:22q11.2重複症候群, 第五大動脈弓遺残, 動脈管開存症

【はじめに】22q11.2重複は2003年に初めて報告された比較的新しい症候群で、精神運動発達遅滞や学習障害評価に対する染色体マイクロアレイ検査から検出されることが多い。心疾患については、動物実験で22q11.2欠失症候群に類似した表現型を呈することが報告されているが、ヒトでの心合併症についての報告はまだ少ない。第五大動脈弓遺残の背景検索として行ったFISH検査で22q11.2重複症候群と診断された一例を報告する。【症例】男児。胎児期に胎児発育遅延と心室中隔欠損症が指摘されていた。在胎36週0日、体重1,770gで出生した。身体所見として耳前瘻孔、幅広い鼻根部、浅い鼻唇溝、小顎症を認めた。心エコーで心室中隔欠損症(膜様部3mm)、心房中隔欠損症、第五大動脈弓遺残、左上大静脈遺残、右鎖骨下動脈起始異常と診断した。心室中隔欠損のサイズは大きくなかったが、動脈管に閉鎖傾向がなく心不全徴候が出現したため、日齢13に動脈管結紮術が行われた。胸部血管を事前に造影CTで確認していたとおり、動脈管は短くまた第五大動脈弓をはじめとした周囲血管とも近接していた。クリップ留置は血管損傷のリスクがあったため結紮のみが行われ、術後は安定した体重増加が得られた。本児に胸腺低形成はなく低カルシウム血症もなかった。第五大動脈弓遺残の合併症に22q11.2欠失症候群の報告がありFISH検査が行われ、欠失ではなく重複が指摘された。アレイCGHにより重複領域は頻度の高い3.0Mbであることが確認された。両親に22q11.2重複症候群を疑う徴候はなく、また、両親の染色体検査の希望はなく行っていない。【まとめ】22q11.2重複症候群において、22q11.2欠失症候群との関連が知られるファロー四徴症や大動脈離断の報告はあったが、第五大動脈弓遺残の報告はまだない。22q11.2重複症候群における心合併症の報告はまだ少なく症例の蓄積が必要で、心臓・大動脈発生への22q11.2領域の関与について解明が望まれる。