[I-OR20-02] 口腔衛生関連感染性心内膜炎は予防指導強化により減少したか?
キーワード:感染性心内膜炎, 予防, 先天性心疾患
【背景・目的】多くの先天性心疾患は感染性心内膜炎(IE)罹患のリスクを有するため歯科治療時の予防的抗菌薬投与が推奨される。当院では心カテ目的で入院した患者は原則として全例歯科受診し、口腔衛生管理の重要性の説明を行っている。2011年11月以降は歯科および循環器科の双方からの視点に基づいたIE予防に関する文書を作成(日循ガイドライン準拠)し、患者・家族のみならず一般開業歯科医も念頭に啓蒙を行っている。IE罹患状況を調査し、文書によるIE予防指導の影響を検討した。【対象・方法】当院開設から2017年12月の間にIEの診断で入院加療した12例を対象とし、基礎心疾患やIE罹患の原因病変、起因菌等を診療録から後方視的に検討した。文書により予防指導を強化した2011年11月前後での口腔衛生関連IE発症状況についても検討した。【結果】IE罹患時年齢は2か月~16歳(中央値2.1歳)。基礎心疾患は心室中隔欠損3例(すべて未手術)、ファロー四徴症5例(シャント後4例、ラステリ手術後1例)、両大血管右室起始(シャント後)1例、純型肺動脈閉鎖(シャント後)1例、僧帽弁置換後1例、肥大型心筋症1例。罹患の原因病変は口腔内病変4例(抜歯、齲歯、外傷、アフタ各1例、すべて予防内服せず)、胃腸炎1例、膿胸1例、不明6例(うち2例は無症状で手術時・検査時に偶然診断)。IE起因菌は口腔内常在菌5例(42%)、MSSA 1例、MRCNS 1例、サルモネラ1例、セラチア1例、不明(血培陰性)3例。口腔衛生関連(口腔内病変、口腔内常在菌)IEは6例(12例中)で予防指導強化前3例(7例中)、後3例(5例中)。【まとめ】口腔衛生関連IEの割合は高く、IE予防指導を強化した後も減少していない。歯科処置時の抗菌薬予防内服のみならず、不可避な口腔内病変(外傷、アフタ)への対処など予防策のさらなる強化、見直しの必要がある。